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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージなどは拍手のメッセージ欄でも各記事コメントでもお気軽にどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作であり、「王さまとブヨピヨ」「サミー・エバーパインの逆襲」の続編です。


全8話。第1話はこちら。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。


おとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。

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騎士ハルミオンと十二の試練(7)
「よかったね、諦めなくてよかったねクドージンさん」
 一緒に来たアマネリアは、クドージンの頭の回りを飛びながら泣いています。
「世をはかなんで後を追おうとしたところを、俺たちが必死で止めてよお」
「ち、違います」
 主がすでに神によって地底に封じられたと思ったクドージンは、一回死んで冥府の最下層から地の底に降りようと考えたのでした。
「はあー? 一回死んだらそれは殉死でしょバカ」
「でもクドージンさんには、永遠の命あったっスよね」
「不死とは意味が違うの。殺せば死ぬのよ」
「将軍を地底からお救いすれば、私の再生などいくらでもしていただけますから。それもおできになれないほど絶望的に滅ぼされてしまったのであれば、この命に価値はありませんし」
「何それ。忠誠もほどほどになさいよ」
「ヤー、私が間に合ってよかったネ」
 クドージンと妖精カップルを厨房のシンクに転送したのは、女神パトラです。
「都にでっかい宴会フィールド形成されてるヨー・タダ酒飲みに行くヒトーて誘いに行ったら、すっかり生きる希望を取り戻したネ」
「タダ酒は偉大ねー♪」
「まあ飲め」
 主からグラスを渡され、クドージンは恐縮しながら酌を受けました。
「どうも考えすぎました。ですが将軍。年齢相殺くらいのことでしたら、私にお申し付けくだされば」
「肉体労働は得意な奴にさせりゃいい」
「ったく、命がけのドラゴン退治をサラッと外注してくれたもんだわ。約束の報酬はちゃんとくれるんでしょうね」
「リュ、リューさん、もういいっスから」
「悪魔だと思ってした手に出てるとつけあがるわよ。言う時は言わなきゃ」
「いいだろう。おいお前」
 将軍はヨシザワス王の前に身を乗り出しました。
「ニッシーナに何か言いたいことがあるんじゃないか」
「え? 別に僕は」
「言いたいことがあるんじゃないか」
 細目を近々とのぞきこまれた王は、ガチッと体をこわばらせました。
「う、なぜだろう。急にニッシーナ君のことが気になってきた……、これが恋……」
「急にプレゼントをあげたい気分になってきたんじゃないか」
「うん、なってきた……」
 王はタラタラと脂汗を流し、必死に抵抗しています。
「すごい暗示の力ね。心では思ってもいないことを言わされてるんだわ」
「か、金でも地位でも名誉でも、王座でもあげたい気分になってきた……畜生っ」
 将軍はサイキック攻撃に震える王の襟をつかみ、ずいとハルに突き出しました。
「今だ。望みのものを言え」
「な、何でもあげるよ、ニッシーナ君。その後でぶっ殺すからね……」
 口角を上げた笑顔がひくひくしています。
「あのあの、俺はただお城で合コンしてモテたかっただけっス」
「じゃあ僕が所有する城館の中で一番ボロいのをあげよう、くうっ! うそうそ、一番豪華で由緒ある城をあげよう」
「本当だろうな」
「ほ、ほんとだよ……、歴史もあってカッコいいんだからな……ハア、ハア、お気に入りの離宮だったのに……」
 ぐったりと脱力した王を、将軍は床に転がしました。
「強い暗示を植え付けておいた。いつでも城の話を振られれば、今の話を繰り返すだろう。これで借りは返したぞ」
「は、ありがとうっス……」
「そういうわけで、世話になったな」
 さっさと出ていく将軍に、クドージンが従います。
「あのひと、今後はティーン女子として生きてくのー?」
「深く考えちゃダメよ。何にせよ、よかったわねえハル。これであんたも一城の主じゃない」
「信じられないっス~!」
「今夜はお祝いじゃ、パーッと行くかのー」
「賛成ネー!」
 由緒ある古い城は大抵、血塗られた歴史もヘビーです。処刑場や地下の拷問施設も充実の、ヨシザワス王お気に入りのドS城を拝領したハルは、王直属の拷問役だと誤解され、ある意味のしあがっていくことになるのですが、それはまた別のお話ということで。
 めでたしめでたし。




「ちょっと待て」
 夜道を歩きながら、天使将軍がクドージンを呼び止めます。
「しょ、将軍?」
 クドージンの胸ぐらを引き寄せ、うんと背伸びして胸ポケットの煙草を探り当てた小悪魔天使は、ニヤリと笑って一本くわえましたとさ。
 めでたしめでたし。




「お待ちください」
 めでたしをかき分けて現れたのは、もう一人のクドージンです。
「来たか」
「はい」
 ヨーコリーナの手でドレープたっぷりのブラウスに着替えさせられているこのクドージンは、もちろん人形のクドージンである、ように見えますが。
「残念。私が人間の方だったんですよ」
「あのう、私には何が何だか」
 地味ジャケットを着た方のクドージンは、ふらふらと後ずさりました。


第8話へつづく!)
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