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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージなどは拍手のメッセージ欄でも各記事コメントでもお気軽にどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。


大人向け艶笑小噺です。おこさまは よんではいけません。わからないことばをけんさくすると きけんなページにとぶので やめましょう。


バカ系下ネタ多し。カップリングは原作の枠内、設定は原作から大きく離れます。


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王さまとブヨピヨ(全五話)


 むかしむかしあるところに、なぞなぞの好きな王さまがいました。
「初めは二本足、そのあと四本足、そして三本。これなーんだ」
「えーと」
 はいつくばった家臣は必死に考えます。
「二本足で四本足で……にに、人間?」
「ッブー。正解は、“駅弁中によろけて受け身を取ったホモ”でした!」
「えー! 二本足で、四本足で、最後の三本は?」
「ブツ一本ずつプラス、攻め役が自分に入れてたオモチャに決まってるでしょう」
 ヨシザワス冷酷王は冷酷に指折り数え、冷酷な判決文に冷酷に玉璽を押しました。
「はい、今日の裁判終わり。被告ゴクラック伯ベンテーンには有罪申し渡す。身柄は幽閉、資産は没収ね」
「陛下、お慈悲を! 駅弁がお好みやったらワシ、いくらでもお相手しますやんか!」
「お前に合わせて下品ななぞなぞにしてやったんだろうが。チャンス問題いかせよゴミ。衛兵、連れていけ」
「殺生や、陛下―! 毎日拷問に来たってやー!」


 こんな調子で、目障りな家臣を粛清していく王政は支持を失う一方、側近のクドージンは頭を悩ませていました。
「陛下。家臣の奥方に手を出しちゃー亭主を裁判にかけるやり方は、そろそろおやめになっていただかないと」
「ねえねえ。人妻は人妻でも食べられる人妻ってなーんだ」
「どんな人妻でもとりあえず味見なさるんでしょう。陛下、どうぞ私の話を」
「シャレを効かせろよ朴念仁。正解は、刺身盛のツマ。人妻で女体盛したらツマだらけでたいへーん」
「そうしてシャレで片づけられた者たちが、各地で不満分子となっております。このままでは王宮が孤立してしまいますよ」


 クドージンの心配どおり、都の郊外では、恨みに燃えた貴族たちが密かに会合を開いていました。
「叔父上をお助けしなきゃ! 王宮に攻め込もうよタニ・ロク」
「焦るなタニ・キュー」
 いさめた方もいさめられた方も同じ顔をしています。ゴクラック伯爵の甥にあたる、タニ・ロクとタニ・キューの双子の兄弟でした。
「財産を没収されたのはゴクラック本家だけだ。我らタニ・マーチセン家が取り潰されない限り、伯爵領は存続している」
 傍系である双子はタニマチ線で市営地下鉄、環状線のJRとは系統が違うのです。
「地下鉄は日陰者……じゃなくて何の話だっけ」
「所領の話。臣下の領地を王領にするためなら、奴はどんな手でも使ってくるぞ。王に訴追の口実を与えてはならないんだ」
「ちゃらんぽらんに見えて、書類上の筋道はきっちり通す男だからなあ」
 なぞなぞで判決を争う気ちがいじみた裁判も、そういう法律がある以上は合法です。法律だってヨシザワス王が作ったわけですが。
「じゃ、目には目をっス。しっかり法にのっとって、同じくらいの無茶ブリしてやりゃいいんスよ」
 そう言って立ち上がったのは、ハルミオン・ニッシーナという若い騎士でした。
「考えがあるのか、ニッシーナくん」
「任せて下さいっス!」


 数日後。貴族連合対ヨシザワス王によるなぞなぞ裁判が開かれました。
 まずは血気さかんなタニ・キューが王の御前で出題します。
「目が三つ、足が四本、牙が生えてて角もあるのに羽根もある、これなーんだ!」
「ふっふ」
 王は不敵に笑い、ばさりとマントを跳ねあげました。
「答えは、それぞれ片目しかない猪鹿蝶! 子供が描いた絵だから足も足りなくて猪と鹿は片側二本ずつ、蝶には足が描いてない!」
「ええ~なが」
「長くない!」
 王はぴしゃりとブーイングを制しました。
「こんなものは計算さえ合ってりゃいいの。どうだ、違うとは言えまい」
「うーん、降参」
「つまらないなあ。次こーい!」
 上機嫌の王の前に、今度はタニ・ロクが進み出ます。
「目は十個! 鼻も十個、足は、ええい百本、口は耳まで裂けていて、もーぐっちゃぐちゃの大お化け! なーんだ!」
「そういうお化け」
「え?」
「自分で言っちゃったよ、お化けって」
「あー!」
 タニ・ロクは頭を抱えて引き下がり、王は大きくあくびをしました。
「急激に飽きてきた。そろそろ閉廷ー」
「わわ、待ってくださいっス。もう一問」
 ニッシーナが慌てて飛び出します。
「行くっスよ。ピンク頭ににょっきりおだんご三つ、顔から足が生えていて、羽根で飛ぶけど鳥じゃない。なーんだ」
「パターンの変わらない子たちだなあ。答えは、飛ぶ夢を見てるサザエさんの彩色頭部石膏像台座つき!」
「ハマったっスね」
「ああ?」
「正解は、ブヨピヨっスよー!」
 王はピリリとこめかみをひくつかせました。
「ブヨ何だと? そんなもの聞いたことないぞ」
「ここに書いてあるっス~」
 ニッシーナはどうだとばかり、古びた本を開いてみせました。
 ピンクの丸い顔が描かれた挿絵の下には、飾り文字で「ブヨピヨ」とあります。
「うちの書庫にあった本っス。出版当時に禁書指定されてるスから、この本のことは王宮の禁書目録にも載ってるはずっスよね」
「いーけないんだ! 禁書所持の罪で逮捕してやる!」
「構わないっスよ。そのかわり、この本が急あつらえのでっちあげじゃなく、本物だって認めることになるっスけど?」
「むむ!」
「ブヨピヨの名を記した書物が数百年前から存在した。このことは、なぞなぞの正当な根拠となるっス。答えを間違った以上、規定により我々の勝ち。俺を禁書所持で裁判にかけようにも、もうあんたに君主裁判権はないっスよね」
 なんとヨシザワス王は、自分が負けたときは玉座を降りると法律に明記していたのでした。
「阿呆どもをなぞなぞに引き込むための餌が、裏目ったかな」
 ヨシザワス王が薄目を開いてつぶやいていると、玉座わきの通用口からクドージンが現れました。
「確認して参りました。確かに記録がございます。『ポチットモンスター大全集』、禁書抵触カテゴリは魔法書」
「なーんだ魔法かよ。実在しないファンタジック生物じゃないか。なぞなぞ無効―」
「そんな!」
「王だって、実在とか関係ない回答ばっかしてたくせに!」
「黙れ! 朕が国家で法である!」
「知るか粗チン!」
「なにおう、見せっこするか」
「ごそごそ」
「やーい王の負けー」
「負けてなーい!」
 元がなぞなぞだけに、最後は子供のケンカです。
「ブヨピヨを正解と認めろ!」
「ブーヨピヨ、ブーヨピヨ!」
 玉座を囲んだシュプレヒコールにも、王は動じる気配がありません。
「ブヨピヨじゃーブヨピヨじゃ」
「おかげじゃおかげじゃ、ブヨピヨじゃ」
 唱和が途絶えてしまっては、王に抗弁のチャンスが生まれます。貴族たちの必死のアドリブはいつしかブヨピヨ念仏となり、踊りながら玉座の周りを巡りはじめた、そのとき。
「あんたたちー!」
 ごてごてした室内飾りのひとつ、天蓋の裸像が怒鳴り声をあげました。
「さっきから何やってるの!」
「自分たちがやってること、分かってるわけ!」
 壁の絵や置物が次々と口をききます。最後に、王が持っている王錫の先から、赤い髪を振りたてた男の顔が飛び出しました。
「なな!」
「何だこりゃ!」
「いいから今すぐその詠唱をやめるのよ! ああダメ、間に合わないわ……」
 おネエ言葉が泣き声になり、遠くで不気味な地響きが始まりました。
「どうなるんだ」
「何が起こるっスか」
「あんたは誰だ」
 皆が口々にたずねたときには、王錫から顔は消えていました。代わりに、慌てた様子の男が玉座の間へと駆け込みます。
「ひとまずここを出るわよ、ついてきて!」
「あ、おんなじ奴だ。赤い髪」
「生身で走ってくるより早いから、虚像を飛ばしたのよ」
 リューと名乗った男の指示で、王宮内の人間はひとり残らず避難し、閲兵広場に集合した人々が見守る中、宮殿は、ガラガラと崩れ始めたのでした。


第二話へつづく!)


~どうでもいい補足情報~
大阪市営地下鉄 谷町線に「谷町六丁目」「谷町九丁目」という駅があり、「タニロク」「タニキュー」と略されます。「タニヨン」だってあるっちゃあるのかな?
 

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