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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージなどは拍手のメッセージ欄でも各記事コメントでもお気軽にどうぞ
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皆さまお疲れさまでした!テンプレをお借りして振り返ります。

■作者名
歩く猫


■サイト名&アドレス


■参加ブロック、作品番号、作品タイトル、作品アドレス


■ジャンル
中世説話・お仕事・市井もの・イハンスにやらせろ、などなど言っていただけました。


■あらすじ
パン焼き窯で暮らす犬のヨーイに、友達ができた。


■意気込みテンプレを使用された方は、URLを教えてください。

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■推理をかわすための作戦は?
根っから犬派なのですが「いつかちゃんと犬が出て来るものを書く!」と後回しにしすぎておりまして、過去作に犬の気配がないことが、有利に働いてくれたらいいなと思っていました。


■作品のネタを思いついたきっかけは?
ガラス工芸の歴史みたいな本に「溶けたガラスが糖蜜ぐらいの硬さになったら」という昔の作業工程の言い回しがあり、大いに性癖に刺さりました。こういう目安と経験で何でも作ってたんだなー。


「ヌレエフの犬」(エルケ・ハイデンライヒ)という本が素晴らしかったのです。映画「アメリ」の部屋の絵を描いた画家さんが挿絵。ルドルフ・ヌレエフの話が急に始まる冒頭から苦しくなるほど好きで、動物と意思疎通するお話なら自分はこの距離感が好きなのだと思い、覆面作に試してみました。短いのでごっそり書き取ったのが文体練習になったかも。


意図的なフェイクはできませんでしたが、フェイクについて頭をひねっていると「登場人物は書き手の私が考えたことを言うしかなく、その世界の全員が私みたいな理屈こね屋になる。理屈をこねず静かに黙っている人を存在させることはできないか。知ってる音符以外で音楽を奏でられないか」みたいなことを考え、ウラカエには前半黙っててもらいました。反動で悪態が。


お題「手」は手話で消化としました。覆面5サイレント・カラーと被りつつ「手から連想して手話」は誰だって考えるさという判断で。断片のネタ被りは他にもわんさか。私の覆面作に自分の正体について黙ってる人が多いのは、ばれちゃイカンという無駄な警戒心なのでしょうか。


「キリスト教とは言ってないし」という言い訳で諸々逃げるつもり。大好物のヨーロッパもどきなので、時代の違うガラス製法をいっしょくたに登場させたりとやりたい放題でした。遮光ガラスみたいに暗いガラスが鏡に転用可能かどうかはほんとイハンスに聞いて。


迷ったのは「床を二度蹴る音がして振り向く」。聞こえないイハンスは「壁を人影が動いて気づく」方がらしいかと思ったのですが、それだとファーストシーンの調理場ではジナンナの気配に気づかなかった事への説明を入れたくなり、冗漫かなあと。ウラカエはきっと足裏が痺れるほど床を蹴ってくれました。


難事を華麗に片づけて「すごいねウラカエ!」と言われたいだけのウラカエ。犬ハンドラーなイハンスに、犬歯ぴょこりの彼も手なづけられちゃっているのかも。後家さんジナンナと行商デバンは好きなだけもじもじしているがいい。ヨーイは、いい子だねー(岩合光昭風に


翻訳は、古典語版の記述からして間違いだったという結論でしょうか。いくらやってもきっと失敗。大元の異教徒の学者が、分かる人にしか分からないような書き方をしたのかな。インディ・ジョーンズだったか古文書の文末に必ず「アラーのために」とあり、神の取り分として1単位を引くべし=数値はすべて多めに書いてあったという暗号が好きでした。


覆面でしか書かなくなっているのでここを先途とがんばるのですが、企画終わりはいつも長編を書ける気になっており、色々構想しました。温め過ぎているうちに次の覆面が来て、短編のアイデアは出ず、長編の試し書きを流用し、探偵諸氏に「情報量!」「詰め込みがすぎる」「短編サイズでない」と言われまくるループでした。ゆったり初参加で3000字ちょっとだった「うわのそら滑走路」以外ギチギチな四作はどれも、思えば長編になれなかったネタ帳からのコラージュでした。


■推理されてみて、いかがでしたか?
いつもですが、読んで語っていただくだけで申し訳ないやらこそばゆいやら自然に合掌してしまいます。鉄板状態よりはもうちょっと隠れられたかと思いますが、しっかり御用となりました。ブロック難易度も低かったようです。


■あなたの作品だと推理された作品はありましたか?
初読で篠崎琴子さんの疾走少女と思ってくださる方が多く、感激でした。修行を積めばあんな音量自在の一人称書けるかもよ、私!(夢は大きく)


■あなたの作品が他の方の作品だと推理された作者さんはいましたか?
鶏林書笈さん。端正な時代ものと並べて違和感なしと言っていただけ嬉しかったです。


■推理してみて、いかがでしたか?
お祭りにキャーキャーしつつ、どつぼにはまるのは相変わらず。推理期間がたっぷりあり、思い込みが取れた頃に別角度から挑戦できるのも楽しかったです。そしてどつぼへ。


■あなたの正解率、どのくらいでしたか?
A 9/11
B 自ブロックながら全問正解。初めてなので嬉しい!
C 5/11
D 5/10
E 4/10
いや、大抵こうです。Aが当たりすぎなくらい。
自白を始めた覆面諸氏のあとがきを絡めて名推理を振り返ると、あらためて読みごたえがあります。そ、そんな大犯罪が行われていたのか!


参考作品の特徴を拾うのが苦手なのですが、それは「読んだものを覚えてない」ってことかなと思いました。その文体、見たけど覚えてない(笑)。覆面作の感想が近視眼的になるのも、目から2cmぐらいのところで読んでいるからかも。


■この企画に参加して、改めて気づいたことはありますか?
感想について。
行儀の悪い土足感想なのでいつも迷うのですが、企画スタートすると、好きなところもアレレと思うところもどっちも書かずにいられませんでした。ひと息で言い表せたり大づかみにしか言えなかったりしてもできるだけ言葉にしたい、それもひとりのメモ書きじゃなく同じものを読んだ人の感想の中に置いて客観視したい、というような事を考え、その通りにしました。ご負担をおかけしたことをこれからも反省し、ご辛抱いただいたことに心から感謝します。


「宇宙の果てから人体の内部まで私たちの目に見えないものは何一つなくなったかのようなこの時代、今なお私たちの目には見えず、また何よりも見たいと願うのは、私たちの精神の振幅、私たちの心のありようなのだ。舞台の表面に現れる世界が日常的なものか非日常的なものかは関係ない」平田オリザ。劇作家の言葉なので小説論ではないですが。


作者名や普段の好みに関係なく読むのなら、私はこの精神の小さな振幅を手がかりに読み、読まれたいと思っているのだと思います。こんな機会は私にとって他にないです。膨大な作業量をこなして企画を続けてくださった主催さま、ご一緒してくださった参加者さま、ほんとうにありがとうございました!


■参加作品の中で印象深い作品をあげてください。
いつもですが、ほぼ全作品。引き込まれた作品ほどつつき回しました。


■参加作品の中で印象深いタイトルの作品をあげてください。
A04地面に手が生えていた
A05現代人外住宅事情
A06魔女と秘密の88手
B10ローマでも長安でも洛陽でもない、ある都の休日
B11手探りカデンツァ
C04なにも宿らない
C09プディヤの祈りは銀の蝶になって
C11トゥルーエンド
D06ヴォストーク・デイ
E08それは手記にも似た
E09夜の谷で
かっこよくて特別な意味と響きがあって、口の中で何度も転がしたくなる甘くてクリーミーなタイトルを、私も付けたい


■参加作品の中で面白かった3作品&一言感想、お願いします。
A07最果ての巫女
壮麗な世界設定に勝手妄想とまらず。廃墟では隻眼の老婆とせむしの少女が身の回りのお世話をしてる。巫女に話しかけられれば返事ぐらいするけど、文学の薫り高い会話をしたい我らが巫女姫には物足りなく、ついつい妖魔の来訪を心待ちに。なんちて。たのすぃー。


B03ジャクリーンの腕
読み終えて「>私は最初から私」の意味するものがぐんぐん膨らみ、小説全体を覆うよう。彼女は最初から機械。地の文は最初からそれを知ってた。(←あたりまえ)冒頭でクリフにジャクリーンの情報を参照させるときの「事故の映像」という言い方にしびれる。あくまでクリフの知見である言い方を踏み外さないさりげなさったら。


最初から、謎めかしなどない。最初から、知るべきことは明かされている。「>違う、そうではない。彼女の真実は、でも、それなら――」とクリフの迷いをゆらゆら泳がせるままにし、決めつけたり意味を与えたりしない地の文。彼女の「自明」もきっと同じで、物事をあるがまま知ればよしとする、修行を積んだ高僧みたいな叡知は、人間の美質なの? 機械のスペックなの? とクラクラした。機械と人間を何とか区別したいクリフに「そんな線引き、意味ある?」と笑う彼女は私にとっても眩しい。


C07迷子の手
時空をつないだのはゴーストペイン。確かにあるのに実体を示すことのできない痛み。言葉を尽くして説明しても違うものになる歯がゆさに希望を失いかけていると、痛みそれ自体をたどってきた誰かの手がじかに触れた。距離を骨抜きにするワープ航法みたいなブレイクスルーが示され、私がへなへなの骨抜きに。


脱線。小説で同じことができたらどんなに素敵だろう。言葉を並べて力尽きてしゃがみこんだ行間に、思いもよらない本質が現れ、自分だけの内的直観なのに外界から届いたような不思議さがあって、ひとり呆然とするような。深夜につきおかしなこと言うとります。皆さまにも時空を越えてつながるような執筆・読書体験がありますようお祈りして、結びとさせていただきます。
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無題
こんにちは。企画、後書き、お疲れ様でした。一緒に推理ができて楽しかったです! あと、印象深いタイトルに拙作をあげてくださって、ありがとうございます。私のタイトルはいつも安直で平凡な感じなのですが、今回はちょっと凝ってみた甲斐がありました。覆面企画がまたあるか分かりませんが、まだ、どこかでご一緒できるといいですね。
冬木洋子 URL 2018/07/11(Wed)08:37:09 編集
Re:無題
こちらこそ、またご一緒できて嬉しかったです! 安直で平凡で普段使いの言葉なのに作品にぴったりなタイトルって憧れますね。

後書きで「冬木らしくないタイトルを意識したのに」とおっしゃっていましたが、冬木さんが頭をひねる限りそれは冬木さんで、それでもいつもの自分の守備範囲からはみ出ようとしてみる事が、新たな得意技の開拓になるのだなと勉強になりました。こんな機会がまたあることを、プディヤのように祈りつつーw
【2018/07/18 19:03】
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