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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージは記事付属コメントかページ最下段のフォームどちらでもどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作であり、「大江戸870夜町(はなまるやちょう)」の続編です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。


おとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。


全20話。男同士なジョークが多め。ひたすら「ふへへ」と笑うのが目的です。


テキスト版もどうぞ。お使いのテキストエディタによっては改行が無視されるかも。
テキスト■(1)■(txt) テキスト■(2)■(txt)


極楽座の怪人(1)


うみやま県おんせん村 民宿「やすらぎ」 私書箱1番 松平弁天さま


 Dearほもイエー。元気で旅しとるカ? 大好評のHNG(半脱ぎ)48から新シリーズ「関節可動・ネコネコ」の受注開始をお知らせするネ。
 ボールジョイント採用でさらに自由なポージングが可能となった新仕様は、交換用ヘッドもバリエーション豊か。「おねだり」「ふくれっ面」「照れ」の他に、今回だけのプレミアフェイス「苦悶」か「号泣」をお選びいただけるヨ。このチャンス逃すでないネ!
 ところで最近のお江戸はすっかり文明開化ヨ。異人てだけで斬りかかられることはなくなたガ、代わりにポリスがうざいネ。なんとびっくりニュース、その中のひとりが、お探しのあの三白眼侍だったヨ。
 名前は樋口桔梗介、公安とかっていばっているガ、情報筋によるとありゃー部下の工藤に頼りきり、工藤がいなけりゃ服も着れないネ。まだ洋装に慣れなくて、工藤にネクタイ結ばせてるらしいワ(びりびり)
 情報筋によると工藤は拷問班長で緊縛担当(びりびり)
 自宅ではおもに手首をネクタイ拘束(びりびりーー!)




「ふう」
 手紙を引き裂いたのは工藤です。
「まったく。間に合ってよかった」
 工藤は宿屋の主人に礼金をはずみ、ボックスをこじ開けた伝書鳩ロボを証拠品袋におさめると、公安の検印状でべたりと封をしました。
「こんな手紙が豊茂家(ほもいえ)の手に渡っていたら、自宅までバレるところでした。この情報筋というのは完全に吉澤さまですね。若、いえ課長」
 今や新政府の公安課長である桔梗介は、帳場の火鉢から火種をもらい、ゆっくりと煙草をふかしました。
「工藤」
「は」
「破ってしまっていいのか。政府職員への襲撃をそそのかす文書だ。そいつがあればクレオを引っ張れる」
 工藤はまだ紙を小さくちぎっています。
「一存で廃棄しております。実は便箋の裏面に、問題ある図像が記載されておりまして」
 裏返すと、切れ端にはいたれりつくせりのクレオによるサンプルイラストがびっしりと描かれています。
「公安である我々には、悪書製造でクレオさんを告発する義務が生じてしまいますので」
「構わんだろう。うんと罪状つけてやれ」
「ですが、図像のモデルがすべて若、いえ課長で」
「……」
「とても似ています」
 工藤が切れ端をつぎ合わせると、モデルをよく見て磨きのかかった激似イラストはどれも洋装・半脱ぎ・ネコネコまっしぐらポーズです。
「若の最近のワードローブまで忠実です。裁判になればこれがいつまでも調書に」
「破れ。もっと細かく」
 桔梗介は残りの紙も奪い取り、みちみちとちぎり始めました。
「焼いてやる。おい、火鉢だ」
「ひぃ、ご勘弁」
 土足で上がり込む鬼公安の剣幕に、そこらで赤子が泣き出します。
「ご商売のお邪魔になってはいけません。我々は目立たぬ場所へ引っ込みましょう」
「フン」
「報告書の作成もしたいので、客室を用意していただけますか」
「もちろんでございますよぉ」
 宿屋の主人は、ビクつきながら二人をはなれへと案内しました。
「こちら専用露天風呂つき、全室オーシャンビューの独立コテージとなっております」
「いや、こんな豪華にしていただかなくても」
「後ほど海鮮フルコースをお持ちしますので、なにとぞなにとぞ~」
 主人は拝みたおしながら庭の飛び石を逃げていきました。
「はあ。最近の公安はダーティなイメージばかりひとり歩きして……ばふ、若?」
「風呂入る」
 ジャケットを投げつけた桔梗介はさっさと浴場へ向かいます。
「いけません。安い部屋に移って正価の領収書を切りませんと、イメージが」
「黒公安だの恐怖政治だの言って、煽ってるやつがいるのさ。そいつを押さえん限り悪評はやまんだろう。ネクタイ」
 桔梗介が襟元を突き出し、工藤はやれやれと首を振りました。
「この件に関しては、情報筋が正しかったようですね」
「……洋装は分からん。俺がやると結ぶもほどくも固結びになってしまうんだ」
「はいはい」
 ネクタイをほどいてやってから、工藤は自分のズボンのすそを上げ、ざぶざぶと湯船をかき混ぜました。
「いい湯加減です。どうぞ」
「んー」
 仁王立ちの桔梗介は、全解放テラスで自分を解放しています。
「海だ」
「そうですね」
「気分がいい」
「そうですか」
 わがままジャグジーのスイッチを入れれば、わがままジェットがわがままマッサージを開始します。
「お前も入れ」
「いえ私は」
「遠慮するな」
「ですが」
「工藤」
「いえ本当に」
「あれは何だ」
 眺望の彼方に、何やら動くものがあります。
「……あのぉ……」
 遠い声は、宿屋の主人です。
「……海鮮フルコースをお持ちしましたぁ……」
「食事が来たようです」
 オーシャンビューの中を近づいてくるのは、巨大な舟盛りでしょうか。
「でかいな」
「豪華にしなくていいと言ったのに……」
「いや、でかすぎるぞ」
 そのとき、巨大な手がオーシャンビューをさえぎり、刺身を張り付けた顔がテラスにめりめりと割り込んで……。




「海鮮フルコース弁体盛りや、ワシごと食べてんか~!」
「カット!」
 少年の声が響き、ミニチュア温泉にでっかい刺身が落っこちました。
「上さまぁ、近すぎます~」
「すまんすまん。興奮してもた」
「また撮り直しですよぉ。フィギュアの位置が変わっちゃったでしょう~」
 若い撮影スタッフがぶうぶう言っている気配を最後に、音声トラックも途切れました。


第二話)へつづく!
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