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D-01 星下双酌⇒紅月赤哉さん
都会の夜もなかなか美しいと気づく「私達が生きる場所」。「Little Christmas」では非現実の存在に向けて失恋の痛みを吐き出す、という、扱われている素材のみでの判断ではありますが。
D-02 十六年目の「ただいま」⇒永坂暖日さん
「魔物」が存在する世界観。「スケルトン」では、ファンタジーですよ!という導入にぴったりの「小悪魔」を、目を引く看板として冒頭から登場させたりしないあたり、地道な住居描写から入る本作冒頭に通じるものあり。
D-03 鏡からの訪問者⇒柏秦透心さん
「式師戦記 真夜伝」でなんとなく。
D-04 腐乱天使※注意※⇒冬木洋子さん
半身にのけぞったチラ読みのたった一読で、もー脳裏に刻み込まれる作品。心理劇としてもホラーとしても、ものものごっつ怖かったのです。しかし捜査のためなのだ。事件現場に腰が引けてしまう新米刑事のような気持ちで「腐乱天使」を再読。傷あと生々しい子供の世界をぐりぐりと描く書き手さんは、このブロックでは曽野さんもいて大変な迷いどころ。
「子供の領分」では「星の猫ルシーダ」など「夢想だと自分で分かっていた」との神視点もありつつ、「ふたごのたまご」では完全に当人の主観に没入した叙述もある。お話が要求するスタイルに従って、いろんな距離感を使い分けて物語に対峙する書き手さんのように思う。
「森の花嫁」。シルウェとソル、大人になる前のそれぞれの心情がとても分厚く描き込んである。自分は周りとは違うということをシルウェがどのように受け入れていたか、「>去ってゆくものを引き止めようなどとは」しないソルがどんな風にシルウェに憧れたかが、お話のなかで一本まっすぐな線になっている。
本作「私」の悲鳴のような一人称のなかにぐんとダイブして、お話の進む方角を一本の線で紡ぎ出し、それをたどって水のニオイのするバスルームに至った、ということでどうだろう。赤イトミミズ怖いよう。
D-05 巡礼とロバ※注意※⇒たかしょうさん
サイトタイトルでもう、死海文書に知恵の林檎と聖書がらみの連想を(ふたつを合わせてちゃんとした他の意味があるのかどうかは知りません)し、私には珍しく先入観アリアリにて意気込みから読む。ジーヴスにバンター、彫像のように揺るぎないオモシロ氏をあっちこっちから突付いてオモシロ発言を楽しむ状況大好きっ子…決定。「フリッツ・ジョシュア」をさわりだけ読み、なんとバーティ(もしくは悪友ビンゴ?)の今度の災難は○○の舅!ぶひゃーと地団駄してウケる。あとで読もう~。あれ、「巡礼とロバ」の実働推理作業は皆無…
D-06 空を越えたら⇒kannaさん
「OZONE」「眠れない夜」など、二度と戻らないときを思う作品に一票。
D-07 そらをみた人魚姫⇒藍間真珠さん
あまり自信なし。笑うときの表現で唇の「端」を上げる、というのが共通かなあと。
D-08 灼けた空に手を伸ばす※注⇒藤原 湾さん
死の影まといつく「鐘が鳴る街」。さようならではなく「さよなら」とある「歯車」。ドラマのなかにぽつりぽつりとセリフを響かせる間合い。
D-09 ボクの赤い手⇒曽野 十瓜さん
上記04に同じく冬木さんを引き合いに出しつつ推理。
「オッドアイを知ってる小学生女児」ですべてを解放してみせる呼吸(←推理で「呼吸」という単語の登場頻度が上昇中。もう気流を読むしかないのだ。風のかみさま、姫ねえさまを守って)は曽野さんかなあ。ほのぼのカラーでくるみこみつつ地道にハラハラさせ、その地続きにありそうな打開策を読み手が無意識に探し始めたところで最後、トーンと「もってく」。これはお二方とも作品がそう要求すれば採用されている手法なのだと思う。この「トーン」が登場するタイミングが、冬木さんならもう少し中盤のうち、主人公が泣きそうになってるあたりですでに顔を出してくるんじゃないかなあなんて思ったのだけどそれも作品ごとに違ってくるものかもしれない。
あと、大ショックな出来事があってからしばらく、叙述が主人公の感情にぴったりと伴走する書法に曽野さん作品の長編ぽさを感じる。
「赤い手」でかなちゃんがしたのは全くひどいことなのだけど、「シワシワの見た目」⇒「気持ち悪いと感じて当然」というかなちゃんの意識にはスジが通っている。悪役にもスジの通った話し方をさせる書き手さんということで、「きんかんなまなま」のイジメシーン、「梅干要求」「ツバ吐きかける」「ウメを見てるとツバが溜まるからね」という展開に、かなちゃんキャラの製造工程と同じものを感じた。気がした。のですがどうでしょう。
D-10 ハンガー・ストライキ⇒コサメさん
乾いたトーンでみずみずしい不安が語られる「ストーリープレイヤー」。こんな小説があったのを思い出した、という表現が出てくる「ようこそ図書委員会へ」。自分の手があの林檎ではなくこの林檎を取ったことについては意味があるとまで実感できるのに、目隠し布の内側で鳥が死んだことには実感が持てない「窓」は、空腹を感じられず、涙の味だけようやく分かる本作「私」。
D-11 獣王の眼⇒暁さん
すでに複数の勢力の思惑が渦巻いている、という導入部の「空色の虚空」。主人公が遠い継承権を持つところ。終焉を知りながら足掻き続けることがテーマの「蒼色の星夜」などこれも扱う素材についての共通点のみですが。
D-12 空の君※注⇒小杉蘭さん
「涙よ、いつか涸れんことを」のクラリネット女史がややこしい恋情に狂ったらきっとこんな感じ。パート別モノローグがたまらん小説的魅力!