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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージは記事付属コメントかページ最下段のフォームどちらでもどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作です。(HNじゃいこ)

全26話。第1話はこちら

他のHANA-MARU二次小説はこちらから。

おこさまは よまないでくださいね。


大江戸870夜町(13)


「将軍、暗殺……?」
「それは俺個人のポケットマネーだ。樋口家の金ではない」
「そんなことより将軍、暗殺?」
「うんまあ」
 小判は華宮院での斬り合いの夜、「すまん、恋のライバルかと思って」とキースが差し出した迷惑料だったのですが、てことはあいつが将軍暗殺犯かよーと瞬時に理解がつながったものの、どこから説明を始めりゃいいか全く分からない樋口主従でありました。
「それより、太夫はどこで依頼金をご覧になったのですか」
「話をすりかえないで。依頼主と殺し屋との間を取り持ったのが伊賀衆だったとか、そんなことでしょ」
「すごい劉ぽん。アタリー」
 工藤は、ふむと考え込みました。
「なら伊賀の里をさかのぼれば、黒幕である依頼主が分かるかもしれません」
「確かにそうね」
「太夫、何かご覧になっていませんか」
「えっとね、端がちょっとへっこんでる子と、刻みが曲がってる子と」
「小判の特徴は結構です」
「伊賀衆といえば幕府直属の隠密よ。それが暗殺に関わったとなると、黒幕は政権内部に……?」
 何となく謎解き気分になった一同が頭を寄せたそのとき。
「隣の座敷に、誰か来ました」
 声をひそめた冬成に、桔梗介がうなずきます。
「お前も殺気を感じるか、坊主」
「襖に結んどいた糸が引かれました。盗み聞き取材には当然の用心です」
「もうこのコ、ゲスいスキルばっか覚えて」
「大勢だ。宴会とは思えぬ忍び足」
「皆さん下がっていてください。いえ吉澤さま、帯刀されてる方は前衛です」
「ケンカはサシでしかしない主義なんでー」
 ごちゃごちゃモメているところへ、パーンと襖が開け放たれました。



 ばらばらっとなだれ込んだのは、手甲脚絆の集団でした。
「観念せい、樋口桔梗介」
 声高に呼ばわった武人は、いつでも抜ける構えの男たちを従えています。
「ふっふっふ。お大尽風の駕籠にしては従者が地味、不審に思いマークしてみれば案の定よ」
「あた、地味侍が悪目立ちしたのね」
 工藤は脇差に手をかけます。
「不徳により死んでお詫びを」
「ちょ工藤さまドンマイ! 樋口さま止めてあげてっス!」
 桔梗介は動じません。
「やらせろ。死んだ気で敵を殲滅するという意味だ」
「若をお上の手には渡さぬ、はぶうっ!」
 吉澤に足をすくわれ、工藤は前のめりに倒れていました。
「よ、吉澤さま!!」
「いやゴメン。入れ込んでるから聞こえないかなって。こいつら、奉行所の兵隊じゃないみたいですよー」
「そういえば……」
 軽装の彼らは同心配下のようにも見えますが、十手も御用提灯もありません。
「では何者だ。何の意趣あって」
「これは名乗り遅れた。我ら華宮院用人衆。主命によりお命頂きに参った」



「華宮院!」
 樋口主従はユニゾンで声を上げました。
「ちょうどよかった!」
「こっちへ座れ!」
 予想外の豹変に、用人は目を白黒させます。
「何だ何だ。おかしな策で攪乱しようとも、この多勢に無勢では」
「フフン」
 桔梗介は悠々と腕組みしました。
「俺を消せば、樋口家が何もかも公表するぞ。金髪異人のことや金髪異人の殺し屋のことや、将軍暗殺を請け負った金髪異人の殺し屋のことなんかをな」
「む、いつの間にそこまで……」
「確たる証拠をつかんでるんですよー♪」
 脅迫に目がない吉澤も、当てずっぽうで参加します。
「その異人の殺し屋に、伊賀者が幾ら払ったかまでね♪太夫?」
「ハイハイ、小判で百両よー」
「ぐむう。バレバレではないか、キース」
「あらキースって、富山ルートで通関した薬売りね」
「窓口は紅牡蠣亭ってバーっス~」
 あと乗せ情報がどんどん続き、用人はボコボコになってへたり込みました。
「貴様ら、どんなすごい情報網を持っておるのだ……、とてもかなわん」
「頭、しっかりしてください」
「まあ聞け」
 桔梗介は、落ち着いて仕上げにかかりました。
「わがまま姫がどんな気まぐれで俺を殺せと命じたか知らんが、大人しく寺までしょっぴかれてやる。殺すかどうかは、本人に決めさせたらどうだ」
「む、よい思案かも知れん……」
 手打ちを決めた両者は、一時的な盟約の盃を交わす運びとなりました。
「ついては道中、身辺の警護を願おうか。俺はお尋ね者なんでな」
「そうだ手配書だ。あれを江戸班が報告してきたのだ」
 罪状はよく分からないものの、桔梗介が減刑のために尼寺の男出入りをチクるのではと、門跡は心配になったのでした。
「……案ずるな。俺は捕まらん。絶対に」
 桔梗介はぞくりと身をすくませます。
「樋口どの。あんた一体何をやった」
「一世一代の恋泥棒ですよー」
「吉澤さま」
「ちょんまげセンサーが呼び合って、イケナイ刀を抜いちゃったんです」
「吉澤さま」
「……ちょんまげセンサー、イケナイ刀、殿中でござる」
 BL用の取材メモに、せっせと書き込む冬成でありました。

第14話へつづく!)
 

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