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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージは記事付属コメントかページ最下段のフォームどちらでもどうぞ
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相変わらずのバカ話です。求めるものは、「お話にオチがある快感」です。
 

これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作であり、「王さまとブヨピヨ」の続編です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。
 

おこさまのよみものでは ありません。ますますバカ系下ネタ注意。バカと下ネタしかありません。


サミー・エバーパインの逆襲(全五話)


 サミー・エバーパインは、ついこの間まで人間でした。
 ひょんなことから魔法で妖精にされ、やけくそでアマネリアと暮らしていましたが、ある日あまりの消息のなさに様子を見に来た村人が、小屋の裏の不審な埋め跡を掘り返し、額を割られた等身大人形を見つけてしまいました。
「邪教の儀式だわ。やっぱりねえ」
「危ない人だと思ってたのよね」
「魔霊召還に失敗したのかしら。本人は術返しを食らって異世界へ?」
 村の主婦たちは本を貸し合う読書仲間だったので、サミーの失踪にはダークファンタジー的尾ひれがつき、今やきこり小屋周辺は、アナザーワールドへの転送ポイントとして、マニアの集まる人気スポットになってしまいました。

 


 サミーにも親兄弟はいるので、寝入りばなの安静なときを狙って話しかけ、事態を収拾してもらおうとしたところ、「ゆうべの夢めちゃくちゃ笑えたわー」と翌日の食卓で爆笑され、意を決したサミーは、街道を飛んで都までやってきました。
「もうあんたにしか頼めん。どうにかして野次馬を追っぱらってくれ」
「分かったわふ、任せひょいて、ふぬはは」
 必死にこらえたもののごまかしきれず、リューは机にすがって笑いコケました。
「あはははは、ダメおかしーやめてーそのヒラヒラ!」
「るっせー! お前がやったんだろうが!」
「だってだって、スケてる上にキラキラが!」
「笑うなっての! これしかねえんだよ!」
 サミーも初めのうちは抵抗し、人間の頃の服地を使って自分で衣を仕立てたのですが、目の粗い織り地は妖精サイズになるとほぼ荒縄で、ゆるい隙き間から色んなものが丸出しでした。
「お、重い衣じゃ飛びにくいから、ね!」
 顔をそむけたアマネリアに薄物を押しつけられ、しぶしぶ従ったものの、変身で開放的になったサミーは着衣の習慣そのものがどうでもよくなっており、気の向くまま全裸で森を飛び回ったところ、エルフ長老議会に公然わいせつで書類送検されたのでした。
「そりゃまた、災難」
 リューは震え笑いながら手袋を勧めました。手のひらサイズのサミーは、ソファ代わりにどっかと座ります。
「エルフ品位冒涜罪と、危険飛行の交通違反もつけられちまってよ、森の中心部には出入り禁止だと。俺がウロつけるのは、きこり小屋のあたりだけになっちまったんだ」
「それで人を追っぱらいたいわけね。でも、私の魔法は調子悪いのよねえ」
 そこへ、バタバタと足音がしました。
「ねえねえ、おっさんエルフが来てるって本当?」
「よう、王さま」
「うははは、キラキラスケスケー!」
 仁王立ちで笑ったヨシザワス王でしたが、アーミン毛皮のマントの下は、マッパに天狗のお面いっちょでした。
「人のこと言える格好かよ。何プレイだそりゃ」
「うえ、なんで天狗が」
 王は慌てて天狗の鼻を引っぱります。が、股間と天狗が一体化してしまったかのようにビクともしません。
「メッセンジャー魔法の余波だわ。おっさんエルフが来てるわよーって一斉送信したんだけど、何せ魔導原理が不安定でしょ。バグってしょうがないの」
 言ってるあいだにも、総メッシュのくのいちとレインボーカラーの河童が顔を出しました。
「きゃははは、キラスケー」
「ふぉっふぉっふぉ、ファンタジックじゃのう」
 同じにされたくないサミーは、ヒラヒラ衣装の襟元を精一杯ただして言いました。
「これは軽量素材だからスケるんだよ。キラキラは燐粉な。スパンコール効果で局部をごまかすらしい」
「つまりはモザイクだね。むー」
「薄目で見るんじゃねえ」
「妖精の局部ってどうなってるのー」
「別に、人間んときのままだよ」
「へえ、そうなの」
「ってリュー、何でお前が知らねえんだよ。今の俺を作ったのはお前だろうが」
 リューは何やらメモを取っていましたが、うるさそうに頭を掻きました。
「呪文が混線しただけで、その肉体は私が構築したわけじゃないのよ。はい、天狗さまサヨナラ」
 リューが空中に図形を描くと、ヨシザワス王の天狗がポンと消えました。
「ああ、戻った」
 王はやれやれと股間の白鳥をなでました。
「戻ってそれかよ」
「教会の信徒さんとお楽しみ会やってたとこなんだ。王宮の再建資金集めに、まずは宗教権威にすり寄ろうってわけ」
「えらいでしょ。ちゃんと王さまやってるのよ」
 ここはニッシーナの実父が提供した司祭館で、臨時の宮廷が置かれています。
「もう魔法支援は必要ないんだけど、ヒナを見守る親鳥の心境なのよねえ。はい、河童に胡瓜、くのいちドロン」
 ひとまとめに解呪された二人は、普通の平民服になりました。
「ワシは河童のままでよかったがのう」
「おじいちゃん、間者は目立っちゃダメー。王さまの鉄板ギャグの反応を客席で拾うんだから」
「ご苦労、ご苦労。今日はよくウケてたよね」
「出オチ4、釣られ笑い6ってとこー」
 白鳥の首の反りを細かく調整しながら、三人は次のステージに戻っていきました。
「あの下ネタ癖だけは魔法で矯正してやるべきかしら」
「よう、俺も魔法で人間に戻してくれよ」
「あら」
 リューは怖い顔でサミーを見下ろしました。
「あんた、アマネリアとうまくいってないの」
「大きなお世話だ」
「何ですって」
 リューは手袋をつまんで揺さぶります。
「あんたのために人間になろうってコなのよ。責任取りなさ……、もーう」
 サミーが全開の開脚で転がり、リューはげんなりと顔をそむけました。
「いてて……。責任っつったらお前だろうが。俺を人間に戻して、話はそっからだろ」
「そう簡単にいかないのよ。今は結界を張ってモニターしてるからバグをトレースして反転できるけど、あんたのときはノーガードだったし、メッセンジャー魔法なんかに比べたら、呪文のもつれ具合もハンパなくて」
「もつれまくりっスー、リューさあん」
 よろよろと入ってきたのはニッシーナでした。
「あら、ひとり忘れてた」
「何スかこれー。気持ち悪いっス、ぐにゃぐにゃにょろにょろー」
 ニッシーナの体には蛍光色の長いものがうようよとまとわりついています。
「悪い悪い。あんたの弟の新作のせいよ。天狗党と美人くのいちが幻の河童を探す伝奇ファンタジーに、触手出すんだもの」
 ちっちゃいことは気にしない司祭は、もうひとりの隠し子に官能小説を書かせては教会の出版部で印刷していました。居候のリューは生原稿読みたさに校正を手伝っていて、小説の内容が魔法のバグに反映されてしまうのです。
「クドージン人形なんて大変だったのよ。毎日ライフ吹き込むたびにケンタウロスになったりバットマンになったり、作風が幅広いもんだから」
 だんだん充電も億劫がられるようになったクドージン・ドールは今、エンプティのままヨーコリーナの抱き枕になっています。
「さて」
 反転呪文を書き終えたリューは、大きく印字を切りました。
「触手昇天! はい男前」
「ふー助かった。サミーさんお久しぶりっス。新婚生活はどうっスか?」
「新しし、ちげーよ!」
「あ、足じたばたするとヒラヒラが、うえ~見えるっス。触手昇天!」
 顔をそむけたニッシーナが印字を切り、サミーは慌てて股間をかばいました。
「心配しなくても、あんたの触手に影響ないわよ」
「用心だ。魔法のとばっちりじゃひどい目に遭ってるからな」
「まー、すねちゃって」
「大体、本当に可能だったのか。エルフを人間に変えるなんてよ」
「私の肉体幻術はちょっとしたもんよ。そこへ数十年スパンの偽生命をぶち込むわけ。あんた好みのツルペタ呪文を用意してたんだから」
「べ、別に好みってんじゃねえよ」
「ちょっと、あんたまだ保護者とか言ってるんじゃないでしょうね」
 リューがアマネリアの願いを叶えに訪ねたときも、サミーはさんざんゴネたのでした。
「こうなった以上、観念してさっさとデキちゃいなさい」
「デキるったってよお」
 サミーは股ぐらに抱えた手袋の指をボスボスと殴りつけます。
「俺はほら、きょ、局部は人間のままなんだし」
「なあに、形がヘンかもとか思ってるわけ。思春期あんた」
「るっせ」
「接続端子が合わないくらい、愛と工夫でどうにかなるのよ」
「エルフってどう違うんスか? 大きさ? 形?」
「き、聞けるか」
「聞きなさいよ。大事なことでしょ。愛する二人が結ばれたいなら、アレがナニしてナンボでしょ」
「手でジェスチャーをつけるなって」
 やいやいけしかけられ、サミーは逃げるように森へ帰っていきました。




「お帰りサミー。そのジェスチャーなあに?」
「何でもねえよ。うあっ、真似すんな」
 サミーが手首をつかんで手つきをやめさせ、アマネリアはポッと赤くなりました。
「リューさんにお願いできた? きこり小屋の騒ぎのこと」
「あ、うやむやで帰ってきちまった」
 夜が近づき、二人は小さな木のうろに隠れました。オカルトスポット・きこり小屋は夜間特に活気づくため、キラキラしながら飛び回るわけにはいきません。
「まあ、おせっかい焼きには来てくれるだろ」
「おせっかいって?」
「色々聞いてきたんだが。俺がエルフっぽいのは見た目だけらしいんだ。つまりは失敗魔法のどさくさだろ。妖精の長寿命まで再現されちゃいねえんだよ」
「そんなの知ってたよ」
「だから俺としちゃ、お前はちゃんとした相手と将来設計をだなあ。え?」
 アマネリアはゆっくりと羽根を開いたり閉じたりさせました。
「だから、サミーは人間のままだって、みんな言ってたよ」
「みんなって……あ。俺ゃエルフ族じゅうに見ていただいたんだっけ。わいせつ物を」
 サミーはがっくりと顔を覆いました。あぐら付近のキラキラが反射効果で下から照らします。
「人間は本来なら追放処分なんだけど。執行猶予がついてよかったね」
 燐粉のエチケットパウダー倍量は執行猶予の条件なので、今のサミーは森の誰よりもキラキラしているのでした。
「追放して、そんな姿で人間界に戻られたら、妖精への誤解が広まっちゃうから困るんだって」
「それだけはっきり違うってことだな。人間とエルフはよ」
 サミーはうろの口を見上げました。枝の隙間で月が輝いています。
「愛があればいいんだもん」
「簡単に言うんじゃねえ」
「心配しなくても、人間のエロ本だって見たことあるよ」
「森に落ちてるエロ本かよ……。そんなもんなー、ノーマルなやつばっかじゃねえんだぞー」
「何がノーマルか分かんないもん。じゃ、教えてくれる?」
「待て待て、そういう話じゃ」
 そのとき、あたりに不思議な声が響き渡りました。
『エエねんで、ノーマルとかそんなんどっちでも……』
「何だ? 生き物の声にしちゃ遠いような近いような」
「愛の鬼火だ」
「何だって?」
 アマネリアはうろから身を乗り出し、キョロキョロと見回しました。
「最近話題の不思議現象だよ。森のしじまに愛の言霊が響くんだって。ちょうどこんなロマンチックな月の夜に……あ!」
 アマネリアが指さした先に、パッパッと火花が散りました。瞬きに合わせて声が響きます。
『恋は身を焼く炎やろ。物質が燃焼するとき、従うルールはひとつやで……』
「消えた。……今度はあっち!」
『一旦燃え始めたら、世間的にノーマルとかアブノーマルとか、そんなん関係ないんやで……』
「わあ、いいこと言うなあ鬼火さん」
『おおきに。お嬢ちゃんも頑張りや……』
 鬼火はピチパチとはぜながら、暗闇を遠ざかって行きました。
「会話が成立しちゃった」
「どうして訛ってるんだ」
「たこやき器のバーナーに焼かれて死んだ関西人の魂らしいよ」
「ふーん。何かこう、どっかで聞き覚えがあるような」
 サミーが首をかしげると、アマネリアはひとっ飛びに抱きつきました。
「私もー! 親しい人の言葉みたいに、すごくしっくり来たよね。恋の燃焼ルールはたったひとつかあ……」
「いやホラ、ほんとに一度会ったことなかったっけか。つい最近」
「そう?」
 サミーの腕にからみつきながら、アマネリアは口をとがらせます。
「私はちょっと、百年単位より細かい記憶はあんまり」
「ちょっと待て、お前いくつだ」
「大丈夫。妖精世界ではロリータでいけるよ」
「ソコこだわってねえよ」
「じゃあさ、妖精世界のノーマル、教えてあげよっか」
「い、いいって」
 サミーはあとずさりし、アマネリアがずいずいと迫ります。
「さわりだけ。エルフのことも知ってほしいなって。サミーがどうしても二次元のティンカーベルしか愛せないんなら、しょうがないけど」
「エロ本ってその手のかよ……。俺は違うぞ。説明だって、聞くだけは聞く」
 サミーは咳払いして座りなおし、二人は改まって向かい合いました。
「はい、じゃあまずお互いに衣を脱いでー」
「って脱ぐな!」
「もー。次に、古ナラの葉っぱを重ねた寝床に一緒に入ってー。これ葉っぱの中、サンドイッチ状ね」
「ん、ああ」
「外から葉っぱを縫い閉じてもらってー」
「厳重だな」
「生体組織を一回ぜんぶドロドロにしてー」
「あ?」
「ぐちゃぐちゃに混ざり合ったところでさなぎを作ってー」
「おい」
「そして堅い殻の中で、混成液がお互いの一部になっていくところを想像しながら、ハァ、ハァ、もう、サミー……」
「いやいやいや、いっこも盛り上がってねえから!」
「変態しようよー」
「変態の意味は正しいけども! 俺の求める変態とは違、げほげほ」
 二人がもみ合っていると、下の方でわっと騒ぎが起こりました。
「いるいる!」
「どこどこ」
「あっちあっち」
 駆け回る足音は、森でミステリーツアー中のファンタジーマニアたちでした。




「何だありゃ。うろから光が漏れたか?」
「方向が違うみたい。さっきの鬼火さんでも見つけたのかな?」
 人間より暗視がきくアマネリアは、首だけ出して外の様子をうかがいました。
「光ったあ」
「こっち来るよ、キャー、キャー」
 声は明らかに恐怖が勝っています。不思議現象を期待してやってきたマニアたちも、いざとなると理性を失ったようです。確かに、暗闇を緑色の小さな光が走りました。
「サミー、あれお化けじゃなくて猫だよ、ダメ、石投げられる!」
 アマネリアはうろからまっしぐらに飛び出しました。
「みなさん注目ー! こっちよー!」
 鳥の警戒音のような声を上げながら地面をかすめ、視線を誘導します。
「猫をお願い!」
「分かった、気をつけろ」
 グッと親指を立てたサミーは、枝に沿って隠れ飛び、地上にそっと降りました。
「おーい、ニャンコ」
 子猫は闇に溶けるような黒猫で、目ばかりピカピカ光っています。
「こっちだこっち」
「カッカッ」
 いきなり近くで声がして、子猫は動転したようです。
「フーッ」
「おう、落ち着けよ。大丈夫だ、よーしよし」
 サミーは低く声をかけながら、そばの枯れ枝を持ち上げました。
「わっせー」
 サミーにとってはひと抱えもある枝を鼻先に突き出すと、子猫は興味深げに先を嗅ぎに来ます。
「ほれほれ、こうだこう」
「んなー♪」
 元が猫派のサミーは器用に子猫をじゃらし、あとずさりして藪の中に誘導していきました。
 アマネリアが戻る頃には、サミーは全裸でうずくまっていました。
「どうしたの!」
「は、腹がガラ空きでよ。股間のキラキラに思い切りじゃれつかれた」
 子猫は奪った衣をくしゃくしゃといたぶっています。
「もう仲良くなったんだ。よかったねー」
「なー♪」
 燐粉だらけになった黒猫は、額のブヨピヨ紋もキラキラです。
「あはは、おデコの模様可愛いねー。あれ? これどっかで見たような」
 長命種のアマネリアは、どうでもいい短期記憶はすぐに忘れてしまうのでした。


第二話につづく!)
 

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