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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージなどは拍手のメッセージ欄でも各記事コメントでもお気軽にどうぞ
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ネタバレ・辛口ご注意ください。
勝手な一読者の私と、小説との対話です。
要約するという能がなく、心の針が振れたところとその理由をぜんぶ書くというアホな方法をとっています。
作者さまが「それ違うし」と思えるよう、具体的に書いてみたつもりです。
作中からの引用を「>」としています。

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A01 これは災厄の物語?
ある日出会ったフシギちゃん。魅力的なセリフがトンと置かれ、セリフとのつながり薄い地の文が来て流れを邪魔する。セリフと同じ内容が繰り返されたり、セリフを読んだ時点で過ぎ去ったはずの時間が重複したり。

> こちらも改めて名乗る。
>「さっきは驚かせてすみませんでした。ところで、突然ですが結婚しましょう」
>「は?」
> 謝罪した女の子の突拍子もない言葉に

「>名乗る。」の直後なので、「>さっきは~」を大場さんのセリフとして読んでしまった。次の「>謝罪した女の子の突拍子もない言葉」をしっかり読んでから理解したもののタイミング的には後付けで、「>突然ですが結婚」の笑いどころをつかみそこなう。

>「いらっしゃいませ」
> 反論をふさぐようなタイミングでドアが開き、矢上は客を迎える。

大場さんが反論しようとしてからドアが開き「いらっしゃいませ」はそのあとというのが現実の順序だけど、ドアが開いたいきなり感を優先するなら「反論したかった大場さん」などの重い荷物はいったん捨てたらどうだろう。

>「……直忠、話したんだ」
> 晴陽から笑顔が消え、文句を言いたげに矢上を見る。

この二行は順番が逆のような。「>話したんだ」は「>黙っていても仕方ないだろう」の方に自然につながり、「>あの、もういいですから」まで空気が途切れず続くはず。

>まだ影響下。

二人だけの言い回しが定着してる感じですき。

>「どう見ても大場さんは善人でしょう」

大人の理屈が小説全体をなぞり、まとめに入る展開へとエンジンが掛かるのに、

>「そういうところが好きです。大好き」
> 面白がっているとしか思えない矢上の追撃に便乗するように晴陽が

もう「>大好き」を言っちゃった! せっかちかよ! という楽しいアワアワ感が、後手後手の説明に殺される。言いたいのは、説明は読み手の助けにならないということだろうか。

>それ禁止。好きって自己暗示をかけてるように見える。

すでにハルヒのことがよく見えてる大場氏。お似合いじゃーんという予感を含んだ始まりがひらけるラスト。


A02 国境いの灯台守
>「……バカヤロ」

のろけとるーという導入部でまんまと釣られる。

失われた科学技術をやりくりするアナログSFファンタジー。「>俺達の生命は、かつて海のどこかで生まれたという。」「>壊れた船から零れ落ちる乗組員は、食える」などなど、どんどん釣られる。海の恐怖。板子一枚下は地獄。嵐に立ち向かう夫婦。カッパを叩く雨音まで聞こえかけて。

漢字が読めなくてググった「>眼柄」で、えええー! 道理で「>海」がすぐそばすぎると思った。「>クウラ」が見えすぎると思った。「>七本の肢の殻」で慌ててビジュアルを訂正・上書き。「>真空の中で長くは生きられない」でさらに背景を上書き。なんとも頭がびゅんびゅんする。たのしー。

とか言ってる場合じゃないピンチのさなかにも、巨大獣との共生関係やら同系統進化の近親種やらが、見えない世界を膨らませる。ぎゅっと握り合う婚姻肢。たのしー。

「>そういうことにしておけ。」以降は大事な畳み掛けのはずだけど、私はつっかえつっかえ読んでしまった。誰の思惑が誰にとって不都合でどんな合意がなされたのか、結論だけがまとまっていて、段取りを追えない感じ。「>あいつらが国境をかすめなきゃ、」が仮定の要素を出しきっていないのかもしれない。「あいつらが国境をかすめたってことにしなきゃ、出撃が国境侵犯対応以外の何かだってことになり、手続きややこしい」という意味でいいかな。念押しするような「>あいつらに国境を侵す必要なんて何一つなかった。」が邪魔なのかも。かばう気持ちは「失敗した拿捕→もみ消し」の意図を確認したあと、諺のくだりでゆっくり咀嚼したっていいのだし。

みんなが通るこの空域、狭い路地で譲り合いする江戸っ子みたいな生き物が、お上の目をゆるーくかわして生きている。「>海行く者にとって最大の敵は、国じゃあない。海と嵐だ」を誰かがもう一回唱えていそうな遠景にカメラが引いて、終幕。ぱちぱちー


A03 あの、透明な水を、この手に。
せっかく小説で「突然のキス」が読めるというのに、暴行スレスレの拘束でガツッと行ったのか、寸前ドアップでのリアクションはどうだったのか、何も書いてない。ちょちょー顔近づいてきたよ? と身を縮めても間に合わない近接距離を許してたなら、そもそも彼女の方も期待してたのでは。そのへん彼女の見解を聞こうとすると、「>そんなこと、言わないで」と言葉についてのコメントしかないし、大事件なはずのキスが宙に浮いて、私だけ右往左往。


A04 After Pandora -溺れゆく希望-
>もしかするとその『希望』って、水が入った壺の中で、もう溺れ死んでいるんじゃないかな?

詩情あふれるディストピア。語り手の少年だけでなく、生き残りの少女、学校の先生まで、世界の壊れっぷりを語る各キャラの言葉つきが、同じ色合いをしてる。誰かとのキャッチボールではなく、自分の持ち時間でコンセプトをまとまりよく話す、プレゼン語りだからかもしれない。家族が落ちる様子を見てしまったときのことを話していても、つっかえたり崩れたりせず、どこか平熱。この子と結婚するというウレシ恥ずかしの予感にさえ、滅びの陰がつきまとう。

>普段口に出さないこと

承知の上で食べてる汚染物質の話のあと、しぶしぶというタイミングで「>パンドラの日、ここにも死の灰が降った。」がぽろりとこぼされる。彼も押しつぶされそうなんだ。はっきり口にはしないけど。

プレゼン相手は誰にとってもまだ無垢な「>小さい弟」だろうか。どこへ行ってもお話聞かされる彼の立場は、読み手の立場に重なるのかもしれない。取り残された人々は格差社会の最下層だけど、階級間の流動が停止した今、ここにいることしか選べない彼らは、平和なユートピアを構築した。いいじゃないか。なんとかやっていける。語りの推進パワーは減速方向、読んでる私の生命活動まで徐々に減速させられていく。

待ち望む明日と行き詰まった展望が相殺して、未来が平衡に凪いでいる岸辺。「>かもしれないような気が、少しだけ、した。」ぷすん。エンジン止まった。あとは永遠の慣性推進。


A05 花は地に落ちて
炎と混乱の最終局面がもう始まっている。人間関係の布石も配置ずみなのが見えて来て、ふつふつと楽しい。ストーリーの足元がよく照らしてあるから、ずっと遠くはまだ闇だと読んでて分かる。どうなるのー、どうなるのー。

>相手も己をも憐れんで。

ハー、ここまで一気。矢のごとし。姫の半生。

>そう言えば、紀昭が惑うから口にした。

そんな、パねえス、姫。まじついてくっス。

>戦支度を整えた夫は、馬上にあった。鴻江家が動きだすのをただじっと待っていた。城を代償に、弟の命を代償に、じっと待っていた。

こういうとこが誰かの感情でべったり塗りこめられてないのがすごいなあと。感情が切り離された上で、ちゃんと姫が見てる景色で構成されてる。

>及び腰と言われるのは、忍耐のせいだ。

華麗な手綱さばき。読んでてあっちへこっちへ転がされる。パねえス、姫~(落馬)

>姫自身も、この実直で憐れな男も。
>ただ見つめて何もしないお前を恨んだわたしと同じように、

ここでアレ、となった。最初の文は「わたし自身」と言ってしまっていいのでは。主観のありかをはっきりさせない手口が読み手を引っぱってきた本作で、「>憐れな」という感情がくっついている紀昭と、客観的な人物像を想起させる「>姫自身」が並んでしまうと、主観の曖昧処理が破たんしないか。数行あとの「>恨んだわたし」とは別系統の感情の持ち主がいるのかなと迷い、新たなキャラが登場したように読めてしまった。ぐー、ややこしい私の悪文はご容赦。

苦しめばいい、嫌になる、憎らしいと、ネガティブなのに生命力ある末期の思いが畳み掛けられるラスト。
  • ひとさま感想を巡回。盲管さんの「姫呼称問題」を拝読し、目からコンタクトぽとし。確かに「濃姫」とか呼び続けるのは後世の私たちだけか。本作が長編で幼少時代からの章があったりすれば違和感ないのかも。「奥方と呼ばれるようになっても作中呼称は幼名でいきますよ」という宣言を、短編内のどこでやるかというと、そうだな……(勝手に推敲脳起動)(通信が未接続です)
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