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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージなどは拍手のメッセージ欄でも各記事コメントでもお気軽にどうぞ
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ネタバレ・辛口ご注意ください。
勝手な一読者の私と、小説との対話です。
要約するという能がなく、心の針が振れたところとその理由をぜんぶ書くというアホな方法をとっています。
作者さまが「それ違うし」と思えるよう、具体的に書いてみたつもりです。
作中からの引用を「>」としています。

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E06 娑婆電光クロスロード
「>わたし」は太陽でいいのかな? はっきりとキャラの立った語り。時制がまちまちで迷う。「>ほうら」というとまさに今だし、「>きゃつはおった。」は思い出しながらの口調。「>そこへ通りかかった「人」が、おまえじゃ。」は目の前に聞き手がいるようで、「>どう応えていいものか、おまえは悩んでいる。」は進行中の実況のようで。人間のセリフが素のまま挿入され始めると「語り部」感はいっそう断絶される。とはいえ、おてんとさまにとって惑星上のちっぽけなやり取りなんて、8分のタイムラグをはさんだ現在進行過去完了みたいなもんかもしれない。太陽からは見えない夜の側に、街の灯が光ってることを知る通力もある……はず。

>「明るい……と言わっしゃるか。星の導きを映さぬこの空の下を」

折り目正しい物の怪氏の、静かな異議申し立て。まぶしいだけの電気の光で見えてるつもりの私たち。


E07 暗夜航路 Eclipse route
冒頭からさっそく物語が始まっている。動作ひとつにまで「この仕草に裏があるけど今は言いません」とお知らせが貼られている感じ。一行ごとに何かがちりばめられているがヒントや方向づけとして記憶に残ることはなく、読むそばから忘れている。ドライブ感ある一人称で遠いベース音が切れないから、手が出ないところは飛ばして読んでも大丈夫。何がだ。

ルルールがルルールの姿を取ったのはそう、あのあたり。「>ティエリーの言葉に翻訳すれば」で「言葉しゃべるんだ」「翻訳が必要」「人じゃない生き物」と腑に落ちた。いくら「竜」とルビつきで示してあってもね。これだけ隠喩と含意が厚くては、「>太り過ぎ」ったって機体か何かの洒落た修辞と思うじゃないか。(文体模倣中)(失敗)

ルルールかわいいを頼りに、物語に再突入する。「なんか、いそぐ、にんむ」ぐらいだったティエリーの目的が見えてくる。「>目方が早いねぇ」にズキュン。しれっと出産した!

「>密輸屋の目は防護服をも脱がす」とか「>ウレスの人類」とか、あのー、ものすごく好きです。照明粉、騒ぐ光量計、日食のリミット、脇に置いといたあれこれがどばっとまとまり、コミック版ナウシカの絵柄で映像化する。じゃー先生は僧正さまで。学術上の誤りにとらわれて名まで変えた偏屈学者。なぞらえまくったのはあんたか、そーか。読み始め、めまいがしそうだった隠喩と含意と掛詞の責任をまとめて先生に押し付け、読了。同期自転をナゾラヱるときもお洒落表現だったなあ。頬っぺぶにー(違)

巻き戻しキュルキュル「>卑猥な手つき」……ティエリーおんなのこだった! 青年イメージのままこの単語をスルーした私びょうき。ナウシカイメージは主人公までカバーしてたかー。


E08 電子レンジ、ひかる!
対照キャラのでこぼこコンビ。やり取りのたたき台でしかなかった「自由研究」が、楽しく過ごした時間ごと劇中劇に変わる。三谷幸喜の舞台が、しっかり前フリを済ませたら怒涛の伏線を大爆発させるあの感じ。

>「くっ! 効かないだと!?」
>(注釈1間違っているからです)

注釈という共犯者も巻き込んで、マーイークーロー、へへへへ。(笑ってます)

>口の広い耐熱用容器にラップをかけ熱しすぎないよう時間を調整するのだ!

必殺技の解説が入り、へへへへ。(爆笑です)

>牛乳は見事にホットミルクになり、かなり美味しいココアになりました。

「かなり」という距離感が絶妙。劇中ナレーションは瞬君の四角四面な滑稽味であり、叔父さんの無邪気なお話属性であり、二人の関係性まで表現するなごみ要素になっていてすき。対して、中盤あたりまで作品の空気を支える本文ナレーションの立ち位置が、あまりピリッとしなかった印象。叔父さんのだらしなさをなじる口調には、カツオを叱る姉さんの人格がありすぎる。

>本当に邪魔な場合がたびたびありました。

「と姉が思ってる」ことを伝える役割であることを超え、まるでナレーション自身がそう思ってるみたい。「>腐った生魚を見る目」を「投げ」にとどめるだけで、ナレーションの感情を切り離せると思う。劇中劇ナレとは違い、この本文ナレーションは誰かのキャラを体現していなくていいはず。大ラスの一文「叔父さんの感性と知性は本当に小3だなあ」が白光スパークするのは、叔父さんへの寸評はセリフ引用にとどめ、「>とつくづく思うことになりました。」が無色透明に徹してるからだと思うけどどうだろう。


E09 光の先へ
「>直後」「>つかの間」「>驚いて~向くと」など、瞬間の表現が長文の中に埋まっていて、読むペースがつかめない導入部。

>出現した石像は、日々の暮らしの中でたまに見かけていた魔物だとすぐに分かる。

「さっき」までなかった石像が「今」出現して、それは「過去」に見かけたもので。「>断末魔」から「>すぐに分かる。」の間がちっともすぐじゃなく、時間を行きつ戻りつする。細かいことを気にしない複文は、読みにくいことを横に置けばすごく自由。以降も同じ感じで、

>獣を貪り食っていたのを見る度にいなくなるまで
>先ほど見た石化した魔物の方に向けて腕を動かす小さな魔物

などなど、文章の主格が入り乱れても構わず説明をつぎ足していく早口さや、

>メイファが自分で食べるときは即席の刃物で細かくしてから食べるために耳の奥を擽るような音は
>がつがつと食べ続ける小さな魔物に離し続けるメイファと、たまに空へと吼える小さな魔物。

などなど、「食べる」「小さな魔物」が重複しても気にしない書きぶりは、E04の供述調書を思い出した。狂人の手記。メイファが意識を向けたものだけが、ひととき世界に出現する。メイファがこう見てるんだからしょうがないのよというメイファ主観の三人称、もっと言えば「メイファ」はメイファの一人称呼称だなと、読みながら語りの正体をつかんだ後段に来て、

>相手の言葉をねつ造して会話を続ける振りをする

という仕掛けが明かされ、えらく腑に落ちた。自分しかいない世界は見るもの全てインナーワールド。「>小さな魔物の顔は泣いて歪んでいるようにメイファには見えていた」と。なるほどー。

>「もう、疲れた」

怖い。ブツブツ言ってたお花畑のかたが急にこっち見た。「読んでるそこのあなたは何のために生きてるの?」と言われたようでハグゥッ。孤独な空想問答を重ね、大抵のことはもう考え飽きた野生児は、悟りを得るとなると最短距離。

>満たされた空間から出たメイファの体は食料を欲して腹が鳴った。

この文章がリズムよく入って来る。私の体がメイファ語りに慣れた。


E10 彼は暗い夜雨の中に差し込んだ、一条の月の光のようだった
人生の始まりからずっと何かを奪われ続けている主人公。同じく、過酷な環境に平穏や希望を奪われ続けている人類。のんびり雨に濡れることもできず、世界に居場所がない感じ。狭められ、狭められして進む小説世界。ちぢこまった彼女の自意識が伸び伸びと手足を広げ、能力と個性を発揮するようなシーンが、前半のどこかにあれば、後半のバトルの「>凪いだ気持ち」という静けさと対をなす緩急になるかも。いや、そんな動画を必要としない作品なのかも。血しぶき上がるものの静止画のようで、さらさらと語られ、終わっていく印象。

■■■
次はAブロックへ。
作品をクリンチしすぎて近視眼的になった反省をふまえ、推理は少し間を置きます。
色んな人のをカンニングしたいからじゃないよ!
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