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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージなどは拍手のメッセージ欄でも各記事コメントでもお気軽にどうぞ
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ネタバレ・辛口ご注意ください。
勝手な一読者の私と、小説との対話です。
要約するという能がなく、心の針が振れたところとその理由をぜんぶ書くというアホな方法をとっています。
作者さまが「それ違うし」と思えるよう、具体的に書いてみたつもりです。
作中からの引用を「>」としています。

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E01 会長の戸隠~高原学園生徒会記録~
誰にも会いたくないと一週間も籠城してる子の悩みが、誰にとっても周知の事実という不思議。「きっとあのことで悩んでるんだよね」と決めつける無神経も、腕ずくで引っ張り出す無茶も、全部古事記のせいにすればいいのだけど。「私たちの話を聞いて」と同じ比重で「あなたの話聞くよ」があってほしかった。


E02 ヒロイック・ガーリッシュ
>上機嫌な友人を死んだ目で見上げ、空気が抜けるような細長い

ため息つくのに大分かかった。オープニングで入り口が込み合う。

「>悦に入る」「>軽く流して」「>悔しさに歯噛み」「>やっぱり機嫌よく」「>経験上知っていた」

などなど、向き合う少女が交互に描写されるけど、ドラマは前に進んで行かない感じ。「こういう子だって分かってる」を何度も言い合う二人だからかもしれない。

>でもそういうの取っ払うとダイヤモンド!

気の合う二人のみずみずしい女子トーク。

>美月が鋭いということは、彼女の興味の対象になってしまったということだ。そしてこれはおそらく、聞くまで許してくれない。

私たちテレパシーが通じますという補強でしぶしぶ告白する主人公。言いたくないなら言わなければいいと思うけど。「言おう」と思うならそれは「言いたい」「聞いてほしい」からだと思う。

>確かにあんたを大事に思っている人にとっては、考え無しで自己満足の最悪なやり方だったかも

会話のターンからすると、美月は「一面の真実」くらいの正論を言ってるはずだけどハテナ。時のたががはずれたような一瞬を、どんな条件付きで「見方によっては違う」なんて言い換えることができるんだろう。「考え無しなことして!」と怒鳴られたとしても、きっと泣きながら、抱きしめながらだ。それでもなお、あゆりの中で「親に怒られた」「間違えたからだ」というねじれた意識が定着したとしたら、相当根が深い気がする。美月との関係の中でだけ解決するラストへ読み進みながら、私の中ではリアリティが立ち上がらなかった。

「ああすればよかった」「あれを間違えた」という慚愧の念は、現場にいた大人がより多く引き受け、苦しむのでは。「>ラブラブ」だという親は、娘に何のカウンセリングも受けさせなかったのだろうか。「>心の中で数を数える。さん。に。いち。」などはカウンセラーの存在も感じさせる。「>思い上がりの証」なんてあたりをすでにうんざりするほど解きほぐされてなきゃいけない彼女が、ずっとフラッシュバックを抱え、テレパシー仲間にしか気持ちを話すことができないでいたとしたら。この世界観は悲しい。


E03 明日の行方
ブロートという人名がどんな文化圏か分からないけど、拳銃が出て来るまでずっと東北あたりの田舎道を想像していた。「>小麦」とあるし北海道とか。「>心臓が1センチ」とメートル法でアメリカ感も薄い。アメリカであってくれというんではなく、腕時計の話の「>どの店でも売り切れ」のご近所感から浮かぶイメージが、「東京では手に入らず」とか「関西で取り扱う店はどこどこ」とかになり、海外に行けなかったので。「EU圏で」「ピレネーからこっち」などスケールの但し書きがあれば。

>「……人に物を尋ねる時は、まず自分のことを言うべきだ」

ブロートはバスを間違えたいきさつをしっかり説明しており「自分のこと」はとりあえず話したのでは。「こんな時間に、あなたは何を?」という問いかけはそう礼儀に反するとは思えない。「仕事だ」「そうすか」(沈黙)という流れを破るきっかけゼリフとしてハテナ。

>どうしようもなくなって逃げたくなったんだよ。

「話し手」「聞き手」が手を取り合ってたどりつく、断酒会のグループセッションみたいな解放。老人の内省が始まる。

>暗から明へと光の加減によって姿を変えていくさまは

と情景による心情描写をしているとき、読み手も老人も情景を見ている。そこへ「>唐突に、疾走していたトラックが止まる。」だと、老人の前に別のトラックが停車したみたい。「>再びトラックは動きだし、」も「>我が家」への道を進んでいる動作主らしさが薄く、シーンがひと続きに流れてくれない感じ。

自殺衝動がしらじらと明ける陽光。グラデーションを経て冷静になり、さて色々どうしようという戸惑いが、最後で一点に向けズバンと発砲されたら素敵。電話の相手にかっこ悪いお願いを切り出す第一声とか。


E04 殺人調書記録、あるいは初恋の甘い輝き
どさーっと読んでぞーっとして。しゃべくりパワーと担当刑事の「もうええわ」待ち。同心円の外側から事件の中心へと証言を拾って行けば真実は自ずと明らかになるはず、という甘い期待を振り切って無罪。強く残った印象はなぜかE09で再登場します。


E05 身代わり
>石だか木切れだかのようなもので印をつけ、

「>真の闇」の中でどうやって? 薄暗いとかのレベルじゃない真っ暗闇ってかなりハードな拷問になりそう。「>鐘の音」とあるけど朝晩の感覚も失いそう。でも主人公の理性は大丈夫そうで、独房の様子がつかめない冒頭。

>「身代わり……だと?」

語り手が交代する。身の上話を始める暁王。いや待て。「>玻璃の床に映る俺の影が、こちらを見返して笑っていた」というのに、「>驚きと恐怖と、これまでの不満」を真っ直ぐぶつけに行く男にハテナ。「俺、気が狂ったんだ」くらいの横道がほしい。

王位継承権争いには裏の事情があり、陰謀の黒幕が明かされる。命まで取られなかったのはお告げがあったからで、お告げは何と言ったかというと……てな具合に、語りが次の語りをくわえこみ、読んでいてキーってなった。情報のギャップが埋まるまで大人しく聞くしかないからだろうか。推理小説で、探偵が長い謎解きを始めると全員最後まで聞くというアレに似てる。「ちょっとトイレ」と中座する人間がいないのは、都度都度、探偵によってちょっとした種明かしが披露されるからで、真犯人が「あなたの憶測にすぎない」と茶々を入れるように、この囚人(平民)も、一面的な絵解きを疑いリズムを締め直すような何かを、一度ぐらい言ってほしい感じ。ここへ誘い込まれた彼にもうできることはないのだろうけど、「話してあげよう」という引きのある道具立てが、あまり活用されず終わる印象。

「>服のように」体を脱ぎ、鏡像に引っ張り込まれる。ダイエットさせられとったとは(笑)。大きなお世話の触発妄想として、「冒頭、まだ真っ暗闇のあいだに暁王が声だけで名乗り、男は幻聴か隣の独房の声として耳を傾け、ダイエットの頃合いを見て王が“ちょっとこっちへ来てみないか”と誘い出し、玻璃に手をつかせてチェンジ」ってどうだろう。「身代わり」というキーワードを最後まで取っておけるし。言うだけ番長。
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感想をありがとうございました!
E01を書きました藤原湾です。お礼に参りました。
神話をベースにしていたのでお恥ずかしい話ながら全く気が付かず、歩く猫さんの感想を読んで「あ、本当だ、不思議だ」と気づきました。
感想を頂き、ありがとうございます。また別記事でですが、推理もしていただき、ありがとうございました!
藤原湾 2016/02/29(Mon)23:35:47 編集
Re:感想をありがとうございました!
藤原さん、毎度の土足感想にツイッターでも丁寧な返信をいただき恐縮です。推理は大ハズレでしたが、探偵諸氏によればかなりのステルスっぷりとのこと、私のザルに引っ掛からなくて当然だーとちょっとホッとしたり(笑)わざわざご訪問ありがとうございましたー!
【2016/03/02 22:49】
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