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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージなどは拍手のメッセージ欄でも各記事コメントでもお気軽にどうぞ
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ネタバレ・辛口ご注意ください。
勝手な一読者の私と、小説との対話です。
要約するという能がなく、心の針が振れたところとその理由をぜんぶ書くというアホな方法をとっています。
作者さまが「それ違うし」と思えるよう、具体的に書いてみたつもりです。
作中からの引用を「>」としています。

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A06 蛍火
>歳若い面立ちには似合わぬ、どこか尖った眼差し。

「若い」と「尖った」に対義語感が薄く、容貌イメージが浮かぶようで浮かばない導入部。見た目若者で目つきが尖ってる人だってありうるので。「>似合わぬ」が邪魔なのかも。

>蹲ったふたりを黄緑色の光を帯びた蛍たちが一匹、また一匹と集い、舞い踊る。

長い地の文でリズムを作り「ぴたっと止まり、蛍ふわふわ」という着地が決まるはずだけど、「>ふたりを」を受ける単語がない。ちかぢかと顔を合わせた二人が画から消えてしまったような。

>名を呼ばれ、彼はわっと声を上げて尻餅をついた。女も一緒に仰け反り、痛みを訴える罵りが漏れる。

とっさに体を引きお尻を打って、と「弾む」「反発」の動作が連続するシーンなのに、文章はさっきまでの「蛍~出会い」と同じのんびりした並列感を引きずっている。性差のないセリフを読み分ける作業ももどかしく、物語が自動的に流れていかない感じ。キャラの心情にぴたりと寄り添って物を言う三人称は「>愛おしげに」「>懐かしい声色」「>ぼやくような呟き」など簡単に答えを言ってしまい、読む楽しみを奪うような。

>「宮様?」
> 何かを背に担いだ幼い主の姿に源九郎は訝しげな顔付きで走り寄る。

やっと助けが来たのに長い説明が。このあと登場人物が全員走ってるはずのシーンになっても、重い少女を担いでいたシーンと同じ比重で説明がはさまり、読んでいて時間がのろのろと進む。

蘇芳が石清水へのライバル意識を吐露して「余裕たっぷりだった蘇芳が本音を吐いたぞ」と読みながらワクワク、でもすぐ「>私も寂しかった」「君に会えなくて」と直球ラブ方面にスライドしてしまった。紅絹子が、男の嫉妬を捕まえてチクチク遊んでくれたらなー。そんなお行儀悪いこといけません。

結婚しろしろと背中を押されることが障害になるという変化球が面白い。何ひとつ禁じられないロミオとジュリエット。この時代の政争というと負けた方は流罪っぽいけど、「>御前がいればそれでよい」と純愛優先みたいに語る同じ口で、蘇芳は妻の親を追放するのだろうか。それとも、うるさい舅をなだめつつうまくやってくのだろうか。それは普通の既婚者じゃないだろうか。ではなぜ勧められた時点で素直に結婚しなかったのだろうか。何度も断ってからしぶしぶ娘を貰ってやるというシナリオが必要だからではなかろうか。

「>御前を貰ってもよい」と、まるで今ほだされたからプロポーズしますみたいに言うよりも、もっと思惑ありありな裏を語ってくれたら素敵。


A07 ちいさな魔女とフローライトレンズ、祈り
冬、春、夏、秋、と季節が移る。情景はあまりべったり心情に関わることなく、ファッション写真のように背景に引いて「時が移る」ことを伝える役割に徹する。余命わずかなエドだから、過ぎゆく時間がどれも貴重で、どんな些細な会話もスナップショットも、心のアルバムに大切に収められるんだけど、所作を丹念に追う嘘のない叙述に少し飽きがきて、詐欺でもいいから一段飛ばしでシーンを切ってくれないかと、読みながらむずむずしてきた頃合い、ヘリオの魔法が爆発する。

>「っなれろおぉおああッ!」

エドと同じく、読み手の私だってレンデントリーが何なのかまだ知らないが、「>昔打ちのめした顔だ」とあるだけで、小さな魔女の過去がほの見える。敵のナイフが刺さって、必死で処置するヘリオが何をどこまでできる子なのかをそもそも知らないので、あまりハラハラできずに終わった。「>ソフィア」も分からず。「>彼の病を痛苦で塗り潰し、」以降で何かが明かされたはずなんだけどなー。延命措置の呪いを解くことで、エドのための何が回復されるんだろう。


A08 HIKARI
こんにちは、僕ペッ(違)。「>平坦な発音なのに、どこか切望するような響き」が好きで深読み。「そう聞こえる」と「そう聞きたい」は表裏一体だ。話し相手が欲しかったアンジェリカの耳が、合成ボイスから人格のかけらを拾った。同じ理屈で、AIが指向性を持ち環境からのシグナルを拾うことができたら、「一緒にいたい」とシグナルを送る少女のそばを離れないだろうし、「自然破壊ひでえ」のシグナルを拾って地球を浄化するかもしれない。意思のようなその指向性を「自我」と呼ぶことにすると、用済みになっても電源を切れないなあ。殺人みたいで。ようやく機能停止したヒカリ君は、寿命を迎えたってことだろうか。

>満足そうに微笑むと、彼女の胸の中で瞳を閉じました。

>「……待って待って。その終わり方だと、アンタ壊れたみたいじゃん」
>『メインカメラ コワレタダケ』

「語り部」あるある。これヒカリの定番ギャグで、本作のエンドマーク後にも「うっそブー」とかあったりして。擬態死するAI。性悪だ。

>雨宿りの時間潰し

違います。大事な歴史ですよ。とプライドありげにお説教しても楽しそう。声は「>平坦」なのに表情は柔軟そうな描写でハテナ。いくら技術が進んでも「つくりもの感」はあると思う。


A09 御嵩城幻夢伝
「>我が戦に味方してやる」が分からなかった。「味方する」つまり援軍を送るとき、その戦が「誰の」戦かというと、別の誰かの戦なんじゃないかな。「我が戦」って何だろう。

>かの光は当然、他の武将のところにも現れているはずであるし、

そうかなあ。夢の話なのに。もっと迷信深い時代でも「夢にみ仏が現れました。あなたも見たでしょう?」とはならない。「武将なら同じ夢を見てるはず」と彼が素朴に信じているのはなぜだろう。

>しかし、出陣すればここが手薄になる。
蛇が証をくれても高山城主が死んでも、この条件は変わらないはず。まだ娘を差し出す必要に迫られてはいないのに、いつの間に「>後には退けぬ」ことになったのか。蛇の刺青を見て「なるほど絞め殺すという脅しだな」と自分から解釈をつけている。実は出陣したい人なのかな。

>お松をすぐに渡さなかったから、

この理屈もハテナ。父親の承諾があるまで娘に手を出さないでいてくれるあやかしの、どこを恐れることになってるのか、小説世界の現実/非現実の境目をつかめないまま終わる。


A10 光をこの手に
お空にエレメント浮かぶ異世界、おねえさんは銀行員。属性ある人の暮らしがぽんぽんと描かれる。萩尾望都なら大ゴマを枠なしの四分割。あっちにはふわふわ飛ぶ人がいて、こっちではフライパンでボワッとフランベ、庭に水やりする人、つるはし担いだおばさま、毎日楽しいことばかり。主人公ニナのちょっとした愚痴と合わせて、今日という日がとんとんとんと語られる。たのしー! そしてすげえー! 「>女はそういったものをよく覚えている。」以降の、彼女のイライラの理由、恋人を大っぴらにしたくない理由、無属性というレッテル、そして彼を信じる自信がなくなってきてること、などなどの情報がストレスなく手渡され(置換忘れ?あれど)、されるがままのお気楽読書。ウィルが来ちゃった! というだけで小さな事件なのに、息つく間もなく銀行強盗だ! 顔面偏差値80オーバーのギルバートを視界にかすめ、床に伏せろー!

>私は。

改行ぽんに、待ってましたと読みながら掛け声が出る。まだひと言しかしゃべってないウィルだけど、「>失礼だろう!」が彼の肉声で聞こえるぞ。あー目が幸せ。ポケットから何か出す。「>石」という活字を見ただけで、私も同じこと考えたよ強盗さんたち。誓いの言葉シチュをなぞりながら、水を跳ね上げてダイブするようなラストはそこらじゅうエレメントでキラキラ! 見たこともないような、絶対にいつか見たことがあるような、幸せ四方固めなハッピーエンドだった。

>「確かに、光を奪うでもよかったはずだな」

エンドだったつってるだろうギルバート。ダメ押しのひともんちゃくが、さらにお話の光量を上げる。ああ、幸せ。両想いの二人の悩みと解決は、揚げ足を取り合うように、ちょうど反対向きに咬み合ってた。エレメントの空に陰陽のシンボルが添えられて終幕。
  • ひとさま感想では舌打ちがチラホラ(笑)。のほほん退職はえーと、便利屋あつかいの窓口業務だったし、はんざわなおきみたいなバンカー魂を読みたいかどうかで言えば、私には不要かな。属性を生かしたお仕事に彼氏の福利厚生つき。「同じ職場だと別れたとき厄介」という警戒を持ち合わせないのがこのカップリング期のカップルだ。属性省の女性職員からは総スカン食うかも!

■■■
次は、読み始めてしまったので蠱毒うずまくDブロックへ。
メェ探偵ツイートの鉄板十二傑問題ですが、
投稿フォームで「この方を推理したい!」の希望の多い方が吹きだまったというのはどうでしょう。
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