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■作者名
歩く猫
■サイト名&アドレス
別冊猫背文庫
http://book.geocities.jp/betuarukuneko/
■参加ブロック、作品番号、作品タイトル、作品アドレス
D09「サイレント・カラー」
http://maskwriter.web.fc2.com/5/sakuhindf/d09.htm
■ジャンル
孫娘おもいでモノローグfeat.般若心経
■あらすじ
夏休みの宿題から始まったインタビュー・ウィズ・おばあちゃん
■意気込みテンプレを使用された方は、URLを教えてください。
こちら
■推理をかわすための作戦は?
細かく漢字変換したのがせめてもの覆面です。自己判断の書き癖はそれ以外当てはめられず泣きながら使いました。「~するわけ」とか。あと言われても言われても使うカタカナ。
■作品のネタを思いついたきっかけは?
「色の白いは七難隠す」の会話部分から筆が止まりまして、別ネタを試してるうちに締め切りは近づき。色即是空をいじったのをエッセイ風にするか、いやエッセイは小説ちゃうから、とジタバタし、このほのぼの会話をする人がどんな地面に立ってるか真剣に考えることをしなかった、という事実を何とか受け入れ、告白の内容を考えました。
板根は以前からのストック。これのせいで話が熱帯に。海外農地は「食糧危機でアジアマネーがアフリカの農地争奪してどうの」というニュースの聞きかじり。南方英語は「アキノ大統領の演説ってフィリピン英語とは違うキレイな発音だなあ」と言った日本人にケッと思った思い出から。詐欺師は「いい男にだまされる」パターンが好きで。
色表現を封じてみる、と草稿の入り口には書きました。お題がなくても色は普通に描写されそうなので、封じて封じてにゅるっと出てきたものが、作品を彩る色になると考えました。「色白と形容される肌の色」がそれになったと思います。チャンネル群島の「青い海」にもにゅるり。「水には困らないはずの土地」という偽イメージの誘導になれば。
「ろう者の主人公には色彩の印象がもっと鮮やかでは」というご指摘に、ホントだ!と椅子から尻ジャンプ。「読唇に集中してるから色に気が行かない」という後付けをするも、色を含めた全感覚について書いてみるとどんなだろうと考えています。
■ストーリーの構築において気を使った点、苦労した点などあれば教えて下さい。
色即是空で始まり----空即是色で終わる。
そのカギカッコ中に
物語がすべてを救う説で始まり----物語による意味づけに大した価値はない説で終わる。
があり、
終わりと始まりが呼び合ってぐるぐる巡る----物語に頼る局面も物語不要の局面も、人間にはどっちもあっていい。
みたいなことをしたかったように思います。
斎場で仏教系パンフをパラ見る主人公にモヤーっと降りてきた想念であるようなひとコマをとも思うのですが、お題大会なので色即是空をいきなり置き、空即是色のカギカッコで閉じてみたかったのでした。結局ふたつは同じことを言うための詩的表現であるらしいのですが、字が入れ替わってるところが面白くて好きです。
世に現れている「色」は、物質も感情も人間関係もあなたという存在まですべて、実体のない「空」であるのだから、執着するのでないよと「色即是空 空即是色」は言うわけです。けど今目の前にあるこの愛や涙に執着せずにはおられんよというロングノリツッコミが、いきなりどうしたというオープニングになりました。
プチ未来設定で何から逃げたかと言えば、具体的なものすべてと言って過言ではないです^^。「そんな手口じゃ当時の人はだまされない」と思った時に、詐欺の精度を磨くのではなく「どの時代の人ならだませるか」を考えてしまったのだと思います。新宿鮫を呼びたくなるような国際詐欺集団になりかけ(書けないし)、「思い付きでぶらっと来た詐欺師」を相手にすればいい小粒感を、IT道具に頼りました。
よそ者に警戒する人々を思い描くことは、そのまま「ではどんな嘘なら信じるか」をひねり出す突破口だと思います。過去日本の材料で同じことができないかじっくり考えてみます。「子供向けに要約する」というおばあちゃんの口立てなら何でもできるさ。私が一番の詐欺師。
チャンネル群島共和国は来年ぐらいに成立します。おばあちゃんの青春が今(←読んでる私たちの)で、今から五十チョビ年後に「おそよう」の会話があるつもり。それくらい先になるとどんなかなと思い、報道で見る世界的な暴動などから、ネット利用が窮屈にされている未来を思いました。そのさらに十プチ年後のお通夜から振り返るとバスターキートンの全盛期は百数十年前。母にとっては「いつよそれ」という。おばあちゃんの平成っ子語彙が孫のモノローグ中に凍結保存されてると思いますが、それは言い回しの未来変化みたいなものと一緒でなきゃ不自然だったかも。
「おそよう」から五十年前と言って過去を振り返る時に「あれかな、という昭和災害を気にしなくていいですよ」とガイドを置いた感じですが、「今」最大の史実である東日本大震災に触れる準備はなく、着想がそこをまたいでしまったからーというモジモジ感が「今いつだ」という分かりづらさになった気がします。
「>その頃、世界ネットには誰でも接続」の段がドバッと設定を含みこんだせいで、「SFだったんですよ、じゃーん」といういらない音量が上がったような。読み手の気分をどう誘導したいかという意識が薄かった箇所かと。企画作なりゃこその収穫です、ありがたや。
「色即是空」に触れたのは、「百億の昼と千億の夜」というSF小説のコミカライズ(萩尾望都)で。私にとっては時空の行き来を連想しやすい言葉なのでしょうか。
過去日本で書くことは早くから投げており、まだ起こってない、これから起こるかもしれない時間の中を行き来しているつもりだったのですが、地球外植民星のフリさえできたようで、「今はいつでもない」に流れてしまう書き癖を自覚。それは決してSFではないな。
「>眠って逝った」でごまかした感があるのですが、きちんと話せないままで終わった、という後悔が軸にありました。亡くなってからどれだけその人の人生を「こういう人だった」と物語の鋳型にはめ込んでみても、器はただの器だなあと。肉声を聞けるうちなら、「器の中の水」が色んな角度で光を反射させる気がします。
空っぽの器は、見送った者たちで折々に手に取り、気持ちをつなぐ道具にするのでしょうか。
「クサす」を検索すると確かに東北弁辞書が一番上に。こちら関西では方言という認識なく使います。クサすが通じない理由は地域差ではなく年代差だったりして。五十年挟めばもっと変わるはずだわー。
「おそよう」の会話を肉付けしながら、モノローグの主が全くしゃべりませんでした。「あ、聞こえないんだ」と思った最初の読者は私です。
■削ったエピソードなどありましたか? 作成裏話歓迎です。
おばあちゃんの家出。詐欺を見抜いた後も、「お金がどうなろうと知らん」と思ってた。情報源が自分の親と分かり、「あたしが詐欺師と出奔したら丸っきり詐欺の片棒じゃん」と青くなった。それなりにラブラブしてたので、それなりのお金で帰ってもらった。「手紙が原因でケンカ」というこのあたりをすっ飛ばしたのは、終わりが見えてきて高揚したのと、孫娘の邪推以上のものにできなかったから?かなー
おじいちゃんとの関係。必要なのは跡継ぎなんだから農家をやる限り怪しい子供でもいい、という建て前をやりくりして年月を過ごした夫婦。……みたいなあたりをズギュンと打ち抜く魔法の一行を探したのですが、かめはめ波は出なかった。主人公母の結婚の時に、建て前の向こう側がのぞけたと思うのです。
「おそよう」時代の世界ネットには、企業や法人など認可を受けた端末だけが接続できる感じ。いち個人の端末から発信 / 閲覧できるのは一定の領域内で、認可端末を使って海外ネットを巡り、国際まとめサイトを作る商売が繁盛。認可のためと称してまとめサイトは検閲されまくり。( )ーグルが堕落して国家や地域連合と上手に癒着したら、人々は案外穏やかに規制を受け入れたりして、という黒い未来。そこふくらましてどうする。
■その作品の続編または長編化のご予定は?
急げ・急げと作った部分に研磨仕上げを。情報を盛りだくさんに見せない書き方があると思います。あんたはできる子だよbyおばあちゃん。
大事にしたい部分も、まあ配慮なく書いたもんだ。前の行を次の行へ渡すような一文を目指します。「>何も感じなくさせる圧倒的な現象のかたまり」らへんが流れを乱し始めたと自己分析。終幕で羅列する「人生の断片」も、既出の要素にプラスもういっこ「今明かすかそれ!」というかめはめ波を出そうとしたのですが、戦闘力もうなかった。
おばあちゃんエピソードのまとまりなさに目眩を感じた方が、「物語と器」のまとめに答えを探し、そこに答えがないので「この説教どうすれば?」と感じられたように思います。読者を引きつける虚構力が足りなかったと自己分析。なんじゃもんじゃ問答だけで「お、その話聞かせろやー♪」とスイッチ入った方は、あと少し魔法がスパークするエピソードでお迎えしたかった。とにかく改稿です。
切り取りようによっちゃかなりひどいことをした人生なので、ついハッピーエンド寄りの言い方を探してあげがちだけど、そんな気遣いもういいよね。と孫が言って送ります。「こういう風に送りたい」「送られたい」という意味で「孫は私 / おばあちゃんも私」、私ばかりがいる書き手まみれのラストですが、「ハッピーエンド拒否」の言及が、小説自体の読後感を強制することもあったとは。ここは日本語の投げやりさも感じます。疲れか?油断を仕切り直してみようと思います。
■その作品で気に入っている箇所はどこですか?
ぜんぶ。細切れだったネタめもがワーッと繋がり始め、自分でもワーッとなりました。この高揚をひとりよがりと呼ぶなあと、ひと月かけて地上に戻ってきましたが^^。
「強烈すぎて何も感じない」「物語で切り取る」は被災地に住んでいない私にとっての震災。視野いっぱいのがれきに感情が圧倒されていた数ヶ月が過ぎ、個人個人の物語で「こういう人だった」を語ろうとするのだけど、とても言い尽くせなくて言葉を飲むような、それでも語ろうとするような、無常と戦う姿勢のようなものを、報道越しにですがたくさん見ました。
■推理期間中、褒められた点は?
タイトル。お題消化。人物好感度。人物ディテール。歩く猫節。書き込みの意気やよし。書き込みが消化不良。書き込み部分スルー。など、めいっぱい頑張ったことに感心していただけました^^。テーマへの畏れと憧れが伝わっても伝わらなくても、かっこつけたい作風は見抜かれていて小さくなったり。
■推理されてみて、いかがでしたか?
「この人はこういう書き方」と言われる嬉し恥ずかしさがタマランです。覆面状態を色んな角度から眺め回していただくとゾクゾクします。変態です。
■正解以外に、あなたの名前があがった作品はありましたか?
一票ずつのD03、D04、D07、D10、D11。正解は8名様。おおむね鉄板ちゃんだったように思います。
■あなたの作品の作者だと推理された方はいましたか?
みるくさんと早瀬千夏さん、でしょうか。文体やら作風やらを共通点のように思っていただけ、ゾクゾクです。
■推理してみて、いかがでしたか?
いつもながら「みみ、見えたー!」を連発。この高揚をひとりよがりと呼ぶなあと(略
自分が覆面に凝らないせいか、最後には疑うことを忘れてしまうのだと思います。フェイクに踊らされるイノセント警部。
■あなたの推理はどのくらいの正解率でしたか?
ブロックが進むごとに推理所要時間が少なく。苦もなくあてはまる作業はホクホクでした。おかげで勝率は五割いってません。ざっとスコア
■この企画に参加して、改めて気づいたことはありますか?
三回目の参加です。ほめ言葉も不満票もすごい量をいただけ、感想の贅沢食いにクラクラし、心の引き出しをガバガバ開けてもらえる企画だと思っています。作品だけでなく感想・推理で「小説ってさー」という話を大量に聞くうち、関係ない過去作の問題に気付いたりできました。傍観でしたが、ツイッターでワイワイする雰囲気が楽しかったです。
感想書きについて。着想・文体のうち私に眩しく映ったものから勝手な読後感を仮置きし、そこからの距離を測ってみる、というようなことをしています。その仮定が合ってるか間違ってるかは誰にも分からない(←作者さま本人にさえ)ことなので、やり放題。もちろん作者さまによる「これが理想で正解なんだ」もやり放題で。
自作は覆面企画がなかったら書けなかった作品ばかりです。この、直前に一本書き上げてるってことが、企画への燃えように関係している気がします。「すげー大勢の人が読む……」と緊張しながら書いた作品は、いつもより神経をとがらせて推敲したはずで、いざ企画スタートとなった時は、まだ推敲脳が余力でブンブン回転している状態。そこへ同じお題・分量の短編がどっと与えられるものだから、アホな私は止まれないのだと思います。
結果マイナス条項をつらねるような感想になったりもしましたが、自分の狭い趣味嗜好に合ったかどうかをお知らせしたいのではなく、「何かヘン。何かイイ。そう感じたのはどうしてか」を知りたかったのでした。自分の計器の針が振れたところにしか興味のない自分スキーの言うことなので、よそさま感想を読む時がまた面白かったです。あやふやな印象を何とか言葉でつかまえておいたから、「ここ読めてなかった」と具体的に思うこともできたかなあと。
狭い知見で書く自作は、必ず誰かにとって不快なものになるなあと思うのです。だったら必ず自分が最後の読者になってみようと、「自分が読みたいものって何だろう。それはどういう作りだろう」を考えるのでした。「自分以外の誰かに伝わる」は、ほぼ奇跡に近い副産物だと思っていれば気が楽なこともあり。自作の最大の読者は自分というお恥ずかしい話を毎度いたします。
自分のためなのだから沈思黙考すればいいのですが、オープンな言葉にしてみてようやくつかめることがあり、「そうか!」の面白さに取りつかれた無法発言をご辛抱いただきました皆さまには、改めて心から御礼申し上げます。もっと違う言い方ができたのではと、何度参加しても反省があります。
イベントの雰囲気づくりという面では水を差す参加者で、主催のネジ子さまには申し訳なく思っております。第五回に参加できて本当に嬉しかったです。開催ありがとうございました!
■参加作品の中で印象深い作品をあげてください。
自ブロックを読了していない状態での回答です。
碧の空
色覚研究所奇譚
歌う青と芽吹く緑
ヘブンリー・ブルーはここにある
グリーンサイン・レッドサイン
ラッキーデイ
黒鍵のエチュード
SIKI
虹色の毒
絶筆「明赫」~建館の由来
俺 in QQ 24時
白蛾降る
the day before you came
Eve or Vandor
磐縒姫(いわよりひめ)
ミューズ
■参加作品の中で印象深いタイトルの作品をあげてください。
未読のDも入れまして。
洗濯参景 -十和と千早-
首長竜、旅に出る
マジで恋するうんたらかんたら
荒野のニンジン
ピンク、黒、そして白
七日間の幽霊
BUN-BORG
愛情木端微塵斬り、同情十把一絡げ
■参加作品の中で面白かった3作品&一言感想、お願いします。
「3」をガン無視
歌う青と芽吹く緑
私が行きたい半歩先へ連れてってもらった作品
ヘブンリー・ブルーはここにある
わ~どこ書こう、と感想が楽しみになった作品
グリーンサイン・レッドサイン
感想の脱線がひどかった作品
SIKI
何かを読んでるってことを忘れた作品
虹色の毒
人殺しを読むミステリの楽しさ再認識
絶筆「明赫」~建館の由来
歴史の生き証人「だって見たんだもん」の力
俺 in QQ 24時
俺もがんばろうと思った作品
ミューズ
何度も噛んで、読む動きを咀嚼した作品
■
何人かの方が、あとがきで「ふと蘇るのはここで取り上げなかった作品だったりする」ということを言っておられてあーと思いました。企画以来、「ザ・短編」みたいな夢をよく見ます。導入とキャラ顔と伏線と解放がギュッとなって「ああどこかで読んだ」と思う目覚め。百篇近い小説が残響しています。皆さまにもよい残響がありますように。