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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作です。(HNじゃいこ)
他のHANA-MARU二次小説はこちらから。
全26話。最終話に豪華イラストあり。さながら文庫表紙。
バカ系時代劇シチュ / 原作枠内カップリング。史実っぽいものはウソだらけです。
テキスト版もどうぞ。(テキストエディタによっては改行が無視されるかも)
テキスト■(1)■ テキスト■(2)■
こころのひろい おとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。
大江戸870夜町(1)
ここは吉原。
お定まりの真っ赤なしとねの上で、くんずほぐれつする男女がありました。
「困ります、どうか」
「ほらほら、力を抜いて」
馬乗りになっているのは女の方で、男を完全に組み敷いています。
「いけません、花魁」
「花魁ちがーう。陽光(ようこう)太夫って呼んでー」
クックと笑う女の髷は、後光のようにかんざしが並んだ最高位の太夫髷で、総髪の侍は必死に身をよじりました。
「た、太夫……料金体系Aクラスの方にこんなことをされては」
「えー工藤さま、どんなことするつもりー」
「体術の調練ではないつもりですが」
工藤はもがくのをやめて息をつきました。どう暴れても両腕は自由になりません。
「力ではないようですね……関節を固定するコツがあるのかな」
「教えてほしい? じゃあ調教コースね」
「そういう意味では」
「お座敷なしの単発プレイだもん、そんな高くしないわよ」
「で、ですから、払いません。私はあなたを買っていない」
「やん、商売抜きの間夫(まぶ=恋人)希望? もう告られたーこちら情熱的ー」
「話を聞いていただけませんか、くっ」
太夫の膝が脇差をひねり上げると体幹が固定され、工藤はボスボスと布団を蹴るばかりです。
「た、太夫ともあろう人が、初会の客と軽々しく寝てはいけません」
「いいのいいの。お座敷チャージとかそのへん省略」
「遊里のルールは守らねば」
「ルールは破るためにあるのよ。あー工藤さま、裏地おしゃれ」
のたうつ裾からドラゴン柄がのぞいています。
「地味ごのみ少しは派手にせよと主が一度も着てないワードローブを下され、せめて忠義の裏打ちにと、よっ」
工藤が体をひねると、太夫の腕がくるんと返されました。
「あん! いたた」
うつぶせにねじ伏せれば形勢逆転です。工藤は裾を直すよりまずガッチリと太夫の上位を取りました。
「片手で男を拘束しようとは、さすがに無理がありましたね」
「両手ふさがってるとイイコトできないんだもん。煩悩に負けたー、ドラゴンー」
歯がみする太夫を押し固め、工藤が慎重に立ち上がろうとしたそのとき。
「太夫~。陽光太夫、どこっスかー」
ドタドタと足音が近づきます。
「太鼓持ちのハルだわ。はるるーん、ここよー」
「ちょ、この体勢を見られては大変な誤解が」
「静かにしてあげてもいいわよ。お口をふさいでくれたら」
「……では失礼」
「んー」
期待に応えない工藤は、太夫の口を普通に手でふさぎましたが、ドンばたん! ごろり。
「くっ、しまった」
「うふー、そっちが片手になりゃ私のが強いに決まってるでしょ♪」
ふたたび馬乗りになった陽光太夫は、念入りに工藤の関節を固めました。
「さーて、うるさいお口をふさぐときはこうするの」
「どうかお構いなく!」
右へ左へ顔をそらすのが工藤にできる最後の抵抗です。
「これだけ完璧にマウントされたら、言われなくても逆らいませんから」
「じゃー力抜いてよ」
「唇突き出すのやめてください」
二人が組み手をプルプルさせながら睨み合っていると、板戸がガラッと開けられました。
(第2話へつづく!)