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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージは記事付属コメントかページ最下段のフォームどちらでもどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。


はなまるファンとふざけたおとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。
全16話。第1話はこちら


冷酷王のスピーチ(12)
「ウッヒャホー! キミの王さまが迎えに来たで、子猫ちゃーん!」
 ヨシザワス王に見える卿が目指すのは、革命劇の舞台であるバルコニーではなく、広場から道いっぽん挟んだカタコンベなのですが、群衆は何となくバルコニー方面へ道を開けました。
「ちょ、何やねん、通してや」
「どうぞどうぞ」
「ちゃうっちゅーねん。こっちや」
 卿は必死にもがきます。しかし、絶妙のタイミングで乱入したヨシザワス王が、展開上どんでん返し以外の何に見えるというのでしょう。
「ヨシザワス王のターンですね!」
「頑張ってくださいよ」
「いや退屈しねえなあ、この王朝」
「この、野次馬どもが~」
 ベンテーン卿は悔しげにドールの体を探りました。
「全身絶縁コーティングしてもたから気軽に幽体離脱でけへんのや。かくなる上は……」
「うわあ!」
 いきなりズボンを下ろしたヨシザワス王に、人垣がザッと割れます。
「ちょ……ぎゃー!」
「ほーれほーれ」
「なんかビリビリする!」
「電気?!」
「どういう攻撃だ!」
「ほーれ、どかんかい~」



「やだやだこっち来るわよ、放水しながら」
 リューたち魔女チームは、カタコンベ前でオロオロしていました。
「群衆をかきわけるならあれに勝る方法はないのでしょうが」
「ションベンほも野郎…………」
「汁出る機能が唯一の放電路になるわけですね。代用体液の生理食塩水に導電性がありますから」
 聞きなれた関西弁からションベンドールの正体を理解している一同ですが、見た目がすべてのトキちゃんは、ド下ネタに耳をふさいでいました。
「王さま! やめなさーい!」
 呼びかける声もションベンパニックにかき消されます。
「もー、怪しい怪しいと思ってたら、病み腐れた妄執の正体はやっぱり王さまだったのね。魔導バグのカタは必ず付けるなんてしおらしいこと言っといて、陰でこんな邪悪な力をため込んでたんだわ」
「え、トキちゃん? あの関西弁はベンテー、うぷ」
 リューは早業でアマネリアをポケットに突っ込みます。
「ごほほ。そうなのよトキちゃん、あれが諸悪の根源よ。どうかお仕置きしてやって」
「よーし、神をだました罪は重いわよ~。うん、あれ」
 腕まくりして行きかけたトキちゃんを、見えない壁が阻んでいます。
「どうしたの」
「うっ、ん……とてつもない力を自在に操っているのにあの人、目的は世界征服じゃないみたい」
「まあ、そうでしょうね」
「なんてどろどろの妄執……ここまで迷った倒錯の魂をどう正道に戻せばいいの。うんっ、こんなスゴいの初めて……」
 清楚な女子が困っているさまはリューにとってグラビアポーズよりご馳走です。
「畜生、タイプだってば」
 ヨシ子さんだの何だの、作り話で丸めこんだ負い目から、リューはひしとトキちゃんの手を取りました。
「あなたみたいなピュアなコに、あんなもんの始末はさせないわ」
 よれよれのアマネリアをポケットから出し、そっと握らせます。
「リューさん?」
「しっかり捕まえててやって」
 ウインクすると、リューは振り向きざまに魔女のエプロンをずぼんとはぎ取りました。
「ん、んな……!!」
「俺カンケーねえみたいな顔してんじゃないわよ。覚悟して!」
 そのまま「勝訴!」みたいに抱えて駆け出すリューを、クドージンズはAIも人間も、フリーズして見送るのでした。



 一方、広場のはずれでは。
「おーい、神さま~」
 本物のヨシザワス王は、バチカンとバチカンの鉢合わせあたりから気配を消し、人ごみに身をひそめていました。
「トキちゃーん、宗教問題がややこしくなってるんですけど、ちょっと出てきてもらえませんか~」
 カレー屋台をノックしますが、返事はありません。
「ちぇ。肝心なときに神さまに留守される体質になってきた。民話のセオリーに嫌われたかな」
 有利な伏線のために善行を積んでおくべしと、王は屋台に入り、コンロの火を点けます。
 たちまちスパイスの香りが立ちのぼって、人々は鼻をくんくんさせました。
「やってるやってる。一人前くださーい」
「持ち帰りひとつ、チーズメガトッピングね」
「こっちナンで辛味二倍」
「はいはいナマステ~」
 おしゃれストールをなんちゃってターバンに巻き、王が気分よく飲食バイトに精を出していると、広場のはずれの喧騒が、切れ切れに耳に届きます。
「……ウッヒャホー、……真打ち登場……」
「…………王のターン、……ほーれほーれ……」
「……ビリビリー、……勝訴!……」
「勝訴?」
 引っ掛かりつつ、王はカレーをよそい、お釣りを渡し。
 ひときわ大きなどよめきがあって、顔を上げた王の目に飛び込んできたのは、小高い陵墓に駆け上がるリューと、クロス足でうまいこと隠した胎児姿勢の魔女でした。



「子猫ちゃーん! キミが好きそなヘテロ性向のボディを手に入れてきたで。気に入ってもらえるやろか。お道具もなかなかやろ。見てんか、ほれ見てんか~」
 ベンテーン卿は、ヨシザワス王の顔で、クドージンのイチモツを露出しています。リューは頭痛をこらえつつ、対ショック姿勢を取ったマッパの魔女を高く掲げました。
「ふっふっふ。どれほどオンナ度あげようが、もう反発せーへんで。しっかりフルコート絶縁してもろたさかいな。ココが唯一の開口部やねん。出力のみ愛の接続端子や。見てんか。ほれ見てんか。○ンコビ――ム」
 ひどいセクハラにティーンのストレスも限界です。髪は逆立ち、全身からパチパチと火花が散って……
「なんか金属臭がする」
「すごい静電気だ」
「来たわ、お迎え放電よ……!!」
 魔女の口からまばゆい光があふれます。落雷の直前、地上の電荷が稲妻を迎えて空へと昇るように、充填中のほもほもビームに向かって、悪魔の力が解き放たれようとしていました。



「あれは…………?」
 閃光にトキちゃんも息を飲みます。
「わーわー、神さま」
 クドージンズは二人がかりで視野をさえぎりました。
「「あれは違うんです魔力みたいに見えますがただの光るゲロですちょっとホタルイカを食べ過ぎて」」
 正体バレる、悪魔ピーンチ、と思いきや。
「いただき!」
 がばりとキス魔がおっかぶさりました。
「こ、こら何インターセプトしてくれとんねんこのキス泥棒―――」
「んぐ、んぐ―――、ぷは!」
 脱力した魔女をボロぞうきんのように捨て、リューはうまそうに口元をぬぐいます。
「さーて。おかわりチャージ、使わせてもらうわよ」
 小指を立ててひとポーズ決めると背後の地面が割れ、異様な蒸気が噴き上がり―――。
「カタコンベが崩れた!」
「なな……!」
「何だありゃ……」
 もうもうと立ち込める蒸気を割って現れたのは、まっ赤な筋肉組織を露出させた巨人でした。
 リューは魔導師ポーズで陶酔中です。
「出しっぱなしにしてたゾンビどもを再利用よ。総量をまとめて全ぶっこみ、ざっと10メートル級かしら。ちょっと歯が多かったわね」
 ニカッと笑顔を張り付けた巨人は、嬉しそうに足元を見回します。
「ひ、ひい…………!」
「助けてえ……」
 逃げまどう群衆の中から、ひとりが丁寧につまみ上げられ。
「おイタはここまで。観念なさい」
「何や何や、歯が多い―――!!」
 絶叫を最後に、ヨシザワス王の顔したおしゃべりドールは、パクンと飲み込まれてしまいましたとさ。

第13話へつづく!)
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