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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージは記事付属コメントかページ最下段のフォームどちらでもどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。


はなまるファンとふざけたおとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。
全16話。第1話はこちら


冷酷王のスピーチ(10)
「女神さまー、本当にこのへんですか?」
「込み入った住所じゃなかったはずヨ」
 デスノートは見つかりませんでしたが、ヨシザワス王は記憶をたどればイケそうと言う女神の案内で、旧市街までやってきていました。
「もう王宮広場が近いですよ。おシッコちびらないでくださいね」
「広域レベルはいま急速に減圧してるヨ。神さまフィールドの重心が移ったようネ」
「というと?」
「どっかで誰かが集中的に怒られてるネ。ザマミロー」



「リューさんはこれでいいとして……、そこのあなた?」
「はい……っ」
 女神も恐れる圧力に、魔女は直立不動で固まります。
「フリルエプロンてことは、メイドさん?」
「う、はいっ」
「魔法帯域を騒がせてたのはあなたでしょう。ポルターガイスト起こしまくってた子ね?」
「はい……」
「そりゃ不安定にもなるわよ。こんなシュラバ経験してたら」
 トキちゃんは男たちを見回し、いっぽん指を振り立てました。
「リューさんはおネエだしクドージンさんは悪魔召喚の前科者、お人形に至ってはラブドールじゃないの。恋に恋するお年ごろなのか知らないけど、手あたり次第に漁ったって、ステキな彼氏は作れないわよ」
「色々訂正したいけど、ここは一旦こらえるわ……」
「あら?」
 お説教ポーズで立ち止まり、神さまのクローズアップが迫ります。
「あなたって雰囲気誰かに似てるわね。誰だっけ」
「ひい、アタシオンナノコ、アタシオンナノコ…………」
 魔女は魔女なりの南無阿弥陀仏を唱えるのでした。
「うーん、昔、とても長い時間を一緒に過ごしたような」
「アタシ……オンナノコ……だめだ、バレる…………」
 悪魔ピーンチの危機レベルは最大、アラート待機からスクランブルしたクドージンズは、リューをどすんと突き飛ばしました。
「な、何すんのよ」
「やかましー、お前なんぞにメイドちゃんは渡さん」
「ばかやろー、彼女は俺のもんだ」
 棒読みのクドージンズはもみ合いながらリューを引っぱり回し、どうやらケンカを演出しているようです。
「やめなさい、いい大人が裸エプロンの子を取り合うなんて」
 トキちゃんが制しますが、魔女っ娘の肩はしっかり抱いたままです。この程度の陽動で気をそらされる神さまではないのでした。
「ちゃーっそおラア」
「んだウラー」
 チンピラ音を上げながら、男たちはひそひそ密談です。
「ピンチなのは分かったけど、あんたたち棒読みが過ぎるわよ。神さまナメんなって」
「何もかもバレたらあなたのせいですよ。リューさん」
「粋がって神さまを召喚したのは悪かったわよ」
「責任を感じるなら助けてください。うまいこと言って魔女っ娘の正体をごまかしてください」
「神も善良認定したリューさんの言葉ならあるいは」
「悪魔の身元保証人になれっての? 嫌よ」
「こうなったら」
 破れかぶれのクドージンズは、両側からリューの腕に組み付きます。
「な、何する気」
「自爆モードを起動。カウントダウンスタート」ト」
 ぴこーんとコマンドが受理され、クドージン・ドールが自爆モードに入りました。
 ドールの目は赤く点滅し、アイコンタクトでコマンドを送るクドージンの目にも同じ光が反射しています。
「どど、どっちが爆発するの」
「爆発すれば分かりますよ」よ」
「それが人に助けを求める態度?」
「ケンカしないで~」
「逃げなさいアマネリア」
「いえ我々がカタコンベを出ますから」ら」
 リューの腕を固めたクドージンズは、そのまま「表でろやー」と移動にかかります。
「もー、気が済むまでやってなさいね」
「トキちゃん、私殺されそうなんだけど」
「殺すとか言い始めたわ。あなたよっぽど魔性なのねえ」
「ちょっと無視なの?」
「青少年の更生が優先よ」
 トキちゃんは宙を見つめてよしっとうなずきました。
「全寮制の女子修道院があったわ。しばらくそこにいなさいね。心配しなくて大丈夫よ。給食の卸し先だから、ちょくちょく顔だしてあげられる」
「給食ってまさか……」
「ん、カレーよ?」
 心身に調和と免疫をもたらすと評判のアーユルヴェーダ給食は、もちろん三食すべてカレー色でした。



「結局カレー地獄…………」
 めくるめく黄色い未来に、ティーン魔女は呆然と立ち尽くします。
「おいたわしい、将軍」
「力及びませず」
 しょんぼり戻ってきた下僕たちをねぎらうように、魔女は両手を広げました。
 クドージンズの目をそれぞれ覆うと、ぴこーんと同期が途切れ、自爆モードの赤ランプが消えています。
「ああ、アイコンタクトを遮ればよかったのね」
「無駄に命を吹っ飛ばすこともなかろう……」
 心はすでに夏のキャンプ場に飛んでいるティーン魔女は目をしぱしぱさせ、涙がころんと落ちました。
「魔女ちゃん、泣かないで~」
「スパイスが目に来ただけだ……」
「強がっちゃって…………たく、そういうの弱いんだってば」
 リューは赤毛をガリガリかくと、ひとつ大きく深呼吸しました。
「トキちゃん実はね、実を言うとその子は、えーと妹なのよ」
「おや。ベタな泣き落としが一番効いたとは」
「うるさいわよ。えーイモートイモート」
 善良なリューは善良なラインを探り探り、アドリブをひねり出すのでした。
「妹って、リューさんの妹さん?」
「私の妹ならもっとまともな服着せるわ」
「じゃあ誰の?」
「ん、よ、ヨシザワス王よ」
「王さまにはあんまり……、いや似てるわね」
 魔女はとっさに細目を作っています。
 じゃなくて、後頭部にとりついたエルフが両こめかみを死ぬほど引っ張っているのでした。
「グッジョブよアマネリア……えーとそういうわけで、トキちゃんの注意を惹くほど魔法帯域を騒がせたのも当然なの。何たって悪魔の妹だもの」
「そうだったの」
「で「ですが神さま、彼女は兄と違って善良です」です」
 クドージンズもユニゾンで乗っかります。
「地球に優しいオンナノコです世界征服なんてやりませんちょっぴり静電気体質なのが玉にキズ」
「そんなぎゅう詰めにしゃべらなくても分かるわよ。ほら怖がらないで」
 色々納得したトキちゃんは自分のエプロンをはずし、裸エプロンの後ろ側を覆ってやりました。
「ハイ、前後エプロン。ケンカしたのか知らないけど、あんな意地悪な布告を出すなんてひどいお兄ちゃんね」
「しかも魔女狩りの果てにコイツが真の悪魔ですとか言って、責任を全部なすりつける魂胆よ」
「それで善良なリューさんがかくまってあげてるのね。ステキな騎士道精神だわ」
「そうなのよ。騎士道なのよ」
 ただれた3Pトライアングルは騎士道精神の誤作動だったと常識的に結論づけ、トキちゃんはウーンと首をひねりました。
「だとすると、ちょっと計算が合わないわねえ」
「計算?」
「私が感じた下ネタは、もっと病み腐れて生死を一回超越したような妄執のカタマリって感じなの……。皆さん、心当たりない?」
「えーあるような、ないような」
「ありまくるような」
「どうですか? アマネリアさん」
「わ、私?」
 アマネリアの静電気計に反応がないので、トキちゃんへの説明はむずかしそうです。
「それより私、こんがらがってきちゃった。魔女ちゃんがリューさんを誘惑してリューさんはトキちゃんを召喚して、トキちゃんが気になる下ネタは3バカ騎士道が妹属性?」
 飛び回るアマネリアはきりもみ旋回をはじめます。
「落ち着いて。みんなで何か食べましょう。カレーでいいかしら」
「ひっ」
「そうそう、あなたお名前は?」
「う」
 一同はとっさに頭が回らず、ひとり冷静なAIが最適解をはじき出しました。
「―――ヨシ子さんです」



 今度こそキレそうな魔女が必死で「アタシオンナノコ・名前はヨシ子」を唱えている頃。
 病み腐れた恋するゾンビは、全力疾走がたたって関節が取れかけていました。
「くっそーこのドール、充実しとるのは腰まわりの駆動系だけや。さすが汁出る仕様」
 あぶなっかしい足取りは、直進したい気持ちに反してカクカクするばかりです。そこへ。
「お前ちょっと待つネ」
 声をかけたのは、自社製品へのクレームを聞きつけた女神パトラです。
「そんな使用環境なら不具合も当然ヨ。ちょっと型番見せるネ」
「女神さま、サポート業務は後にしてもらえませんか。僕は急ぎの用で……」
「そ、その声は……」
 壊れかけのベンテーン卿はグラスアイをぐりぐりさせ、ヨシザワス王の姿をとらえました。
「おおー! 陛下―――!」
「ゾンビに知り合いなんていないけど」
「ドールは死体違うヨ。無機物ネ」
「じゃ、ドールに憑りついて動かしてる何か霊的なもの……ってそんな知り合いもいませんよ」
「陛下~、相変わらずつれない人や~!」
「何だっていいガ。ちょっと点検させてもらうヨ」
 はらりとスリットをめくった女神の太ももには、工具がびっしり並んでいます。
「スティルポージング用のヤワいジョイントで無茶な走行は困るネ。これギヤが完全にいかれとるヨ」
「はう、ソコソコ。足がもつれて参っとったんや~」
「ちょっと、こんなとこで股関節はずすのとかやめなさい」
「るさいネ、オマエ何さまカ」
「王さまですよ。王都の風紀は僕が守る!」
 往来でのラブドール遊びを禁止する条例が口頭で即時施行されたので、パトラはしぶしぶ自分のホームである水辺へとゾンビを導きました。
 運河沿いなら、使っていない小舟に隠れて破廉恥行為がし放題です。
「んー四肢関節は総とっかえ必要ネ。バランスジャイロと空圧ふくらはぎの豪華関節つけるカ」
「あんまり高機能やのうてええねん。普通に走れてちょっとしたピストン運動に耐えられるもんであれば」
「だったらすぐできるネ。なじみのジャンク屋で部品調達してくるヨ」
「ちょっと女神さま。僕の用事はー?」
 ぶうぶう言いながら女神の後をついていくと、なじみのジャンク屋とは平底船の大フック船長で、住所が書かれたディスノートをすぐに渡してくれました。
「ちょうど届けに行こうと思ってたニャ。ニャイスタイミング」
 ニャーン♪とアイテムゲット音が鳴ります。
「ヨシザワス王は魔女の現住所を手に入れた♪やっぱ僕ってツイてるなあ。王者の素質ですよね」
「普通に民話の基本ヨ。さっきみたいな変則ルールの人に親切にしとくと後の伏線になる、ありがちなパターンネ」
 さすがトキちゃんの支配地域、ありがちパワーはハンパないのでした。
「ニャアニャア、変則と言や女神さま。さっき雷で面白いことが」
「よもやま話サービスいらないネ。早くお勘定」
「あいよ。毎度ニャー」
 部品をどっさり仕入れて戻った魔女は、小舟の陰でふたたび卿の傍らに膝まづき、携帯用グラインダーを取り出します。
「ついでに錆落とししとくネ。顔の損傷はパテで再建するヨ。希望のフェイスあるカ?」
「愛しい姫を迎えに行くとこやねん。オットコ前にしてんかー」
「任せるネ。もちろんお代は結構ヨ。親切だからー」



 伏線の亡者と化した女神が親切オーバーホールを始めそうなので、王はひとりで目的地へ向かうことにしました。
 運河沿いに旧市街を戻ると、納骨堂通りから道いっぽんで王宮広場がすぐそこです。
「何だよ、さっきいたあたりじゃん。道草食ってなかったらまっすぐたどり着いてたな」
 ツイてると思ったらただの無駄足を食っていたあいだに何があったかというと、ハルたち貴族連合がすっかり準備を整え、新政権の樹立を宣言しようとしていました。

第11話へつづく!)
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