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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージは記事付属コメントかページ最下段のフォームどちらでもどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。


はなまるファンとふざけたおとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。
全16話。第1話はこちら


冷酷王のスピーチ(11)
「みなさん集まってくださーい! お知らせがあります、今すぐ王宮広場へ―――!」
 火事を知らせる半鐘からガラポン抽選会のハンドベルまで、鐘という鐘がカンカン鳴らされます。
「何だ何だ」
「とりあえず行ってみようぜ」
 広場を見下ろすバルコニーには玉座がしつらえられており、気の早い横断幕がばさりと掲げられました。
「何だあれ。『新王即位おめでとう♪はっぴーさくせしょんツルカメッシュ王』……?」
「誰?」
「ツルカメッシュ家と言えば、この国の正当なる王家の血筋。ヨシザワス王以前の大空位時代に、一度廃れたはずだけど……」
 物知りリューもまぶしげに顔を出します。
 カタコンベの出口は王宮広場に面しており、魔女たちは結局、王宮からめっちゃ近くに潜伏していたのでした。
 役者がそろったところで、新時代が動き始めます。



 バルコニーに勢ぞろいした貴族たち。
 席次は所有する城の格式が高い順です。
 最も高位のハルが、貴族連合筆頭として進み出ました。
「れでぃーす&じぇんとるめん、耳の穴かっぽじってお聞きくださいっス! このたびこちらのタカフミ・ド・ツルカメッシュ公が王位を請求し、見事に承認されましたー!」
「えー」
「承認て何だ」
「そんなもの誰がするってんだ!」
 困惑した群衆からヤジが飛びますが。
「ふっふっふ、バチカンじゃ」
 ダブルピースのツルカメッシュ王は、玉座におさまってご機嫌です。
「いつだって王権は神より授けられるものじゃよ♪」
「認めないぞ! 僕……ごほごほ、ヨシザワス王だって、神さまのトキちゃんから立派なお墨付きもらってるじゃないか。悪魔みたいだったあの子がすっかり更生してまともになったわーって」
「ああ? 誰じゃって?」
「トキちゃん、ほら時を司る神さまだよ!」
「そんなマイナー神は知らんのう」
 とぼけてみせるのは年寄りの得意技でした。
「大体あんた、ヨシザワス王に雇われてたじいさんだろうが! 今さら旧家出身を名乗るとかズルいぞ!」
「いやいや。大空位時代の混乱でライバルがバタバタおっ死んでのう。ちゃんと数えればわしが継承権第一位の王太子じゃからして、自己紹介するときは必ず“おうじと呼んでくだされ”と言うとったつもりなんじゃが」
「ま、誰も信じないわね……」
「おじーちゃんは、おじーじゃなくておーじだったのね~」
「うわ、実はよく聞き取れなくて、ずっとごまかして発音してました。オウチかオーチあたりで合ってるかなーと……」
 ぼそぼそ言いながら、クドージンズも地下から出てきます。
「道理で貴族の内情に詳しかったわけですね。間者として情報を集めたんじゃなく、普通にみんな知り合いだったのか」
 忘れられたとは言え王家の末裔であるタカフミ公からすれば、悪そな貴族は大体トモダチなのでした。
「付き合いがあったのは一世代まえの連中になるがの。訪ねていって思い出話をしてやると、皆とってもよくしてくれてのう♪」
「親の黒歴史をペラペラしゃべられりゃ誰だってビビるわよ。で、魔法支援を失ったヨシザワス政権が弱体化したスキに、貴族連合を束ねちゃったわけ」
「おじーちゃんかっこい~♪」
「ふぉっふぉっ、人徳人徳」
 バルコニーの上と下で話がまとまりかけていた、その時。



「すみません、すみません。通してください……おーい! ただいま到着されましたー!」
 広場の中央を、一台の馬車がやってきます。
 馬のくつわを取って人混みをかき分けているのは、くりくりの坊主頭です。
「フューナリー? お前どうして」
「遅れてすみません! 雨でお馬車が立ち往生したとかで……あれ? もう即位式終わってる?」
「何だと?」
 バルコニー前に馬車が横付けされるやいなや、祭祀服の人物が降り立ちます。
 泥ハネで汚れた胸元にも、馬車の扉にも、天国の鍵と司教冠をかたどった紋章がありました。
「あの紋章は、教皇庁……」
「ゲリラ豪雨をおして来たというのに、勝手に戴冠しただと? 不敬な、かような王位は承認できぬぞ」
「ええっ、でもでも」
 焦ったツルカメッシュ王は、かぶっちゃってる王冠をささっとはずします。
「ちゃんと作法にのっとって、冠を頭に載せてもらいましたんじゃが……こちらのバチカンのお使者に」
 指さす先にいるのは、悪い顔した礼服の男です。
「いかにも。異端審問官の私が教皇の権威をもって異端の徒ヨシザワス王を廃し、ツルカメッシュ王に王位を授けたぞ。泥馬車のお前は一体どこの馬の骨だ」
「ちょこざいな寝言を! 我こそは神の代理人、ガチの総本山なれば」
「おまおま、お待ちを、何かの手違いで……兄ちゃんこれって?」
「俺も分かんない、どうしよう」
「あれ、お前フューナリーじゃん」
 ハルの背後からイエーと手を振ったのは、平民代表として来ていたナイトでした。
「すごいだろ。審問官どのを手引きしたのが認められて、式典に列席できたんだぜ。お前も前王を売ったのか?」
「違います。僕はもともとバチカンから派遣されて、聖ヨシザワス教会で潜入調査をしてたんですよ」
 指名システムや免罪符発行などを異端行為として密告し、トンデモ教会駆逐の手伝いをすれば、父親の身分復権も考慮しようという悪魔のささやきにまんまと乗ったフューナリーでした。
「どいつもこいつも、聖職の守秘義務どした~」
「僕がチクッたのは教会の組織構造であって、信徒さんの告解内容じゃありませんよ。そんなことより、どうしよう。どちらかが……ニセモノ?」
 とうとう言っちゃったキーワードが、両陣営にビリリと電気を走らせた、その瞬間。



「やっほーい! 真打ち登場やー!」
 マントをなびかせてやってきたのは、カスタムを終えたベンテーン卿。
 でも顔はヨシザワス王でした。
「ワシの知るかぎり最強のどエス顔にしてもろたで。これで相手は自動的に受っけ受けのネッコネコになるっちゅー寸法や。ヒャホ―――!」

第12話へつづく!)
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