管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージなどは拍手のメッセージ欄でも各記事コメントでもお気軽にどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。
はなまるファンとふざけたおとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。
全16話。第1話はこちら
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冷酷王のスピーチ(8)
バリバリにぎやかな雷雨をよそに。
地下のカタコンベでは、息詰まる攻防が続いていました。
「…………わあ、すごいアングル……ってあんな所から? やだ女の子がそんな……」
前のめりの実況はアマネリアです。リューはやけくそで叫びました。
「も―――っ! 分かったわ! こうなりゃ覚悟を決めるわよ!」
がっちりと金縛りされたリューは、首だけで必死に訴えます。
「その代わり、主導権はこっちにもらうわよ。あんたみたいなビッチ系、本来タイプじゃないんだから!」
「…………」
「リューさんひどい、魔女ちゃん傷ついたよ!」
「違うから!」
魔女は無言で考えているらしく拘束が緩み、リューはほっと息をつきました。
「私だってけっこう繊細なの。気分が乗らなきゃ役に立つもんも立たないって言ってんのよ。元オトコなら分かるでしょ」
「ふもがが」
口でシャツを引き裂いていた魔女は、布を吐き出して言い直します。
「……いいだろう」
「ったく。それっ」
くるんと転がると攻守交代、リューは両手をついて魔女を見下ろしました。
「人のシャツビリビリにしてくれちゃって……ビッチって言うよりビーストね。手なづけさせてもらうわよ野獣ちゃん」
「ふは、ここからは言葉攻めか~♪」
「外野うるさい、クドージン!」
「お任せを」
「やん、これからいいとこなの~」
アマネリアはヒラヒラ飛んで捕まりません。
クドージンはDIY用品を漁り、塩ビパイプをきゅわきゅわこすって近づけると、静電気でエルフが一匹捕れました。
「ではごゆっくり」
「いや待て……」
「今さら怖気づいても遅いわよ」
「うぐ……!」
最後にジタバタッとした魔女の口は、今度こそすっかりふさがれちゃったのでした。
「ぞぞ、ぞくぞくっ」
女神パトラは急な悪寒に身をすくめました。
マッパに傘さした下駄ばきで、慌てて脱衣所に駆け込みます。
「ひー、ゲリラ豪雨は露天風呂の敵ネ。さむー」
ふたたび、雨宿りの座談会。
雷を背負った登場に圧倒された人々は、新来の男に次々と持ちネタを披露していました。
「―――ふむ。金の斧と銀の斧、他には?」
「えーと、さっきゾンビが表を走って行きやしたけど」
「絶縁テープぐるぐる巻きで、すごい関西弁の」
「でも関西遊園地のイベントキャストかもしれねえです」
「それはこちらで判断する」
審問官は虫ケラを扱う目つきで調書を作っています。
「あのう……、異端審問ってことは、あっしら罰せられるんで?」
「心配するな。証人は罪に問われない」
まさに魔女裁判、誰かをチクれば自分は助かるのです。
「では僕も証言します」
そう言って進み出たのはナイトでした。
審問官の目が光ります。
「何と、お前シッポがあるな。異端の魔物め、自首して出たか」
「ち、違います。猿シッポがイケてると思っててごめんなさい……」
トキちゃんの優しさカレーで心を入れ替えていたナイトは、とても素直に衣装からシッポを引きちぎるのでした。
「僕が証言したいのはヨシザワス王の悪行です。あんな腐れ外道はありません」
「そうかなあ、いい王さまだと思うぜ」
「すっかり人間的になったよなあ」
「それは以前の暴君ぶりが常軌を逸していたせいですよ。子猫を愛でればいい人に見えるヤンキーマジックです。本質は相変わらずどエスなんだ。あの猫かぶりウ○コ野郎が」
ナイトは素直になりすぎて、書いて発散していた罵詈雑言が素直に口から出てしまうのでした。
「減税したりバラマキしたり、人気取りの財源はどこから出てたと思います。さっきチラ見た会計書類によれば、なんと免罪符の売り上げですよ。僕らがどんなに稼いでも9:1で王宮に入ってる。搾取ですよ。お城ひとつくれないし、あんなブラック教会辞めてやる。あと、免罪符売るのもバチカン的には違反ですよね。ついでに報告します」
「ついでかよ」
「分かりやすく腹いせで密告してんなあ」
「待て。王宮で帳簿を見て回ったというのか? 平民のお前が?」
「はい。衛兵もスト中らしくて、城門からノーチェックで入れましたよ」
「超ウィザード級門番は?」
「酔っ払いの受付嬢しかいませんでしたけど」
「それはいいことを聞いた」
正義の異端審問官は、悪い顔でニヤリと笑うのでした。
(第9話へつづく!)
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