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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージは記事付属コメントかページ最下段のフォームどちらでもどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。


はなまるファンとふざけたおとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。
全16話。第1話はこちら


冷酷王のスピーチ(3)
「フューナリー、今あがりか?」
 休憩室で声をかけてきた青年は、同じ僧服でもやけにキラキラしていました。
「どうも。ナイト先輩」
「シフトいっぱいかかって売り上げゼロかよ。お前、いつになったら専属指名が取れるんだ?」
「そのシステム、おかしいですよね……」
 魔女だのバグだのもっとおかしいシステムだって基本だいじょうぶなここ聖ヨシザワス教会は、ヨシザワス王出資の新設教会です。
 バチカンとかのガチなアレとは一線をおいた新宗派である聖ヨシザワス教会は、オリジナルの免罪符も売っていて、中でもこのブラザー・ナイトは、イケナイ個室面談で信徒の罪状を増やしちゃー免罪符をバンバン売り上げるナンバーワンホス、もとい聴罪僧なのでした。
「あのGカップの客はむずかしいぞ。低反発クッションとスナックだけ取って、俺の名刺は捨ててくんだぜ」
「あなたですか。教会の入り口でそういうものを配ってるのは」
「もちろん俺はナンバーワンだからそんな営業しなくても指名は付くけどな。お前みたいな新人が参考にできるよう、基本をやってみせてんの」
「ありがとうございます」
 めんどくさいセンパイほど話が長いのは、たぶん神の試練です。
「しっかしお前も大変だよなあ。僧籍に入ったのって親のチョンボのケツ拭くためなんだろ?」
「まあ修行も楽しいです」
「隠し子バレたのはでけーよな。あと教会の地下でやべー本作ってたって?」
「あれは、人間賛美の観点からルネッサンス的な啓蒙を目的とした」
「官能小説だろ?」
「官能小説です」
「救いがてーな。しかもお前の兄ちゃんシッポあるよな?」
「まあ、はい」
「つか異形かよ。ファンタジーかよ。そのダークファンタジー性を買われて王から拷問城を拝領したんだ?」
「違います」
「んだよー俺、ウケると思ってシッポ衣装作っちまったんだぜ。猿シッポでサイヤ人意識してみたけどどう思う?」
「そうだ、僕アレに行かないと」
 用事思い出した感を出しつつ、フューナリーは逃げるように立ち去りました。
「ち、あいつ殺す」
 表情を変えたナイトは、一冊のノートを取り出します。
 目に狂気、ペンには憎悪をたたえた彼のフルネームはヤガミ・ナイト。漢字ひと文字でライトと読ませる当て字の人とは違うので、書いているのは普通に頭の悪い悪口でした。
『ありがたい俺さまの話を途中ブッチ殺す。父親のためとか何アピール。兄貴の出世とかどーせコネな。そのコネ教えろ。王に取り入る最短ルート教えろ。それか死ね。俺にコネを教えてから死ね。シネ・コネ・シネ・コネ……』
 黒いモノローグで、見るまにページは埋まります。
「くそ、ノート終わった。ここにねーかな……あーった」
 落としもの箱を探ったナイトが「もーらい♪」と引っ張り出したのは、不気味な黒いノートでした。



「ん? どっかでデスノート落としたネ」
 女神パトラは胸の谷間を探ります。
 右乳左乳と景気よく脱いでは衣をバサバサ振りますが、探し物は見つかりません。
「まいっか。脱いだついでに温泉入るヨ。あー平和ネ~」



「どっぷりとぬるま湯に浸かった平和はまやかしです。魔女はいつだってあなたの懐を狙っていますよ」
 王の魔女狩り令・第二弾は、似てない人相書きに頼るのをやめ、人々の不安を煽る方向へシフトしていました。
「ホラ隣にいるのがまさに奴らの手先です。魔女の魔の手にぺろんとケツをなでられる前に、片っ端から通報しましょう。おネエしゃべりのハーブ屋などは特に注意が必要です。股間に危険ハーブを隠しています。あと、魔法バグのせいで王政支援できないなんて嘘だよね。ことあるごとにクドージンにべろちゅー迫ってたし、“騎士ハルミオンと十二の試練”あたりではガンガン魔法使ってたよな。自分だけ修正版入れてバグシナリオすり抜けてんだろ。ずりーぞ。くだんのキス魔を、危険路チューの罪で告発します。アッこのおネエと思ったらスグ通報。情報提供者には100パー勝てるパチンコ必勝法教えます。ナルハヤシクヨロ!」



「――ったく、何だってこっちにとばっちりが」
 ぶつぶつ言いながら、リューはジョッキビールをあおりました。
 相変わらず読みにくい布告文はキーワードだけがひとり歩きし、股間は詰め物だとかオトコと見るとすぐ襲うとか言われてハーブ屋稼業が立ち行かなくなったリューは、場末の酒場でクダをまいていました。
「察するところ、また以前のように魔法支援してくれってことよね。分かりづらい子……」
 ヤケ酒がすすむリューの目の前が、急にキラキラすると。
「リューさん、ここにいたあ」
「アマネリア、バカ隠れて!」
 リューは木製ジョッキを逆さにしてエルフを閉じ込めました。
 隣の酔っ払いが目をぱちくりさせます。
「よう、今そのあたりキラキラしなかったか?」
「やーね幻覚? 酩酊はアルコールだけにしときなさいよ」
 おネエ笑いでごまかしますが、ジョッキからはミュートのかかった声が漏れてきます。
「(リューさん、出してー、酔っぱらっちゃう)」
「しーしー、しょうがないわね。バンザイして」
 リューはそっとアマネリアをつまみ出し、耳たぶにつかまらせました。
「コレお気に入りのピアスなの。キラキラフィギュアが可愛いでしょ?」
「あー」
「おネエな上にオタク」
「怪しいキャラの渋滞」
「なあ、魔女ってこれのことかも」
「布告の手配犯だ。通報するべ」
「……ズラかるわよ」
 リューはそのへんのカップや食器をひっくり返し、あわあわする酔客にクリーニング代を叩きつけて店を出ました。



「あのカオス布告のせいで色々デリケートなのよ。目立つ登場しないでくれる?」
「はあ~い」
「で、私を探してたのよね」
 片耳にアマネリアをブラ下げたリューは言われるままに歩き、墓地の崩れた階段を降りていくと、そこは放棄されたカタコンベです。
「告白なら体育館裏ぐらいにしてよ……。うわ、何なの目が回る」
「視覚トラップだよ。目をつぶって」
 複眼のアマネリアに錯視効果は効きません。耳たぶを引っ張るエルフに先導され、リューは魔女の隠れ家へとたどり着いたのでした。
第4話へつづく!)
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