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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージなどは拍手のメッセージ欄でも各記事コメントでもお気軽にどうぞ
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作品と向き合った一読者の私がなぜそう感じたのかを言葉にしたく、土足感想お許しください。
作者さまが「なるほど的外れだ」と思えるよう具体的に書いたつもりです。
作中からの引用を「>」とします。ネタバレには配慮しておりません。

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D01秘密が見える目の彼女
告白めいて彼女が語り、すでに細かい事情を把握した彼が語り、まだそれを知らない頃の彼が教室のシーンを語り、時間軸のグラグラする感じがおさまると、離れた場所から歩き出した二人が真ん中でボーイ・ミーツ・ガール。と思ったら三人に。特殊能力を使わず信じる心が優先されて人情話ぽい雰囲気。「不良だからフトコロ深そう」と思った理由はよく分からないが、めぐみたちにとっても彼は気になる男子だったのかな。親にも忌み嫌われる秘密を人に話せたから、だんだん別人格に頼らなくてよくなるかもしれない。彼女が落ち着いたらどっちか消えるんだろうか。特殊能力を使ってくことに賛同するラストは主人公にとってハッピーエンドだけども。


D02神の庭
光景や人物について背後の因縁を匂わせるような描写が続くが、読んでいけば何となく察しがつくようになっているファンタジー。会話する二人は小説冒頭からすっかり理解し合っており、新たに何かが明かされても「知ってた」というトーンで語られ、読んでいる私まで「このことは最初から分かってた」という気分になった。どこを読んで何を察したのかはっきり自覚できず、「形骸姫」などきれいな語感はありつつ、読む楽しみを見失った感じ。


D03couturiere
「職人を自負する」と自分で言ったりして、どこか身構えた語り。愚痴にはポジティブなフォローが入り、「そううまくはいかないが」とまたネガティブ要素が塩梅されお話の推進力を止めてしまうようで、世界は彼女の大切なアトリエからどこへも移動しない印象。業界の迷信がトントンと並んでおもしろく、「鋏の彼女が死んだからこそ私は小指の占いを信じる」と言い切ることもできそうなのに、「~らしい」と距離を取って遠巻きに終わったような。心がポジティブなら辛くても光を探せる、心がくじける仕組みはわからない、彼女もポジティブならよかったのにと、当たり前と言えば当たり前の話を聞いたような、語り手のほんとの心をのぞくことは許されなかったようなラスト。


D04子どもを助けたら勇者と呼ばれた件について
出来事に対して短い事実や感情が投げられ、また出来事があって短文という進行。それぞれの出来事は主人公にとってだけ筋が通っている感じ。事故った人と目が合っちゃったランドセルの子がケロリとしており、主人公が作った虚像のように感じる。あの子のためにまた命を投げ出すという試練を経て現実に戻る。どうしてこんなに自己犠牲を求められるんだろう。勇者だからか。


D05夢を視ないという夢
少年時代を回想する僕と心霊譚、いかにもそれっぽさをなぞったような語り口が、記憶の捏造へ着地する。おばあちゃんという存在が丸ごと幻影だったとは。捏造度合いのスケールが大きくて好き。親元離れて大学行って、あの子おかしなこと言うようになっちゃったと親御さんショックを受けてなきゃいいけど。目隠しで護られていたというスピリチュアル的言い回しと、目隠しで誘導された小説の仕掛けがダブって気持ちのよい幕切れ。


D06ヴォストーク・デイ
一気読み。かっこいい。口伝風?ルポルタージュ風?いや何風ですと言い訳するような無駄話は無し。高いところから他人ごとの距離感で聞こえてくる「ですます」の語りは、負荷もかけずに難なく世界をおしひしぐ巨大災害そのものみたいに感じた。

「防寒」「養生」と身の回りをひとマスずつ埋めながら、人間はのんびりと「静電」「休出」など職場のペース、急転直下の猛吹雪を見ても「ヤバいな~」くらいで、出来事を直線の順番でとらえていた当事者たちは、前項に倍する勢いで増大するナントカ級数的スピードに軽々と追いつかれる。カードキーが作動しない、びっくり、じゃどうしようと一歩ずつしか進めない初動避難の描写に引き込まれた。多分私も同じ。あそこにいるのは私だ。ナイスアイデアを突然閃くアメコミヒーローみたいに飛躍できない二人は、人間に可能なペースのまま濁流の中でもがく。とっさに救えるものは手の皮膚ぐらい。いや大事だもの手の皮膚。

あなたに助けられたから、私も助ける。理解が追い付かない非常時だからこそ、今の自分に理解できる最小単位の理屈にすがろうとする切迫感。身動きできない二人のそばに語りはとどまり、最小の1単位の挙動を報告し続ける。涙凍ってるし。煽りたてない地の文の熱量は変わらないのに、読んでて感情が解放されていった。

地の文と言っても終盤は会話の連打。思えば初めから人の会話は地の文に散らされ、カギカッコは放送音声だけ。会話もかの「ですます」の語り手による報告の一部なんだ、二人はそういう観察対象なんだと急にゾゾゾとする。「>赤白の手」「>淑女らしく目を閉じて」など、まるで好奇心旺盛な知的生命が地上のよさげな比喩表現を全スキャンして取り込んだような垣根のない語り口は、ペンギン幻視の敷居も軽々とまたぎ越えた。ペンギンになった二人が雪原を行くのを見送るようでもあり、また意識を失った二人のそばにフリッパーをパタパタさせたペンギンがいてくれるような気もして、私まで幻覚を見たような読後感。


D07オズ ―知識の光をもたらした魔女―
「結末」とあり「物心ついてから」とあり、時間を測る天体の話になり、お話が始まる前から時間についての手がかりが多いが「今」がいつなのかというと、結局ずっとラストシーンだったのかもしれない。「誰も本気にしなかった」など強い断定口調の割に内容はすぐ覆されて読む勢いをキープしづらく、「>かつて異界からやって来た魔女は厳かにそう言った。」などは「かつて」が「異界から来た」時点を指すのか「そう言った」にかかるのか、そんなことどうでもいいっちゃいいが、読みながら「今」起きていることについてこれという印象を定着させられない感じ。時間の表現が多くなるのは、長命種がさほど賢くないという珍しい設定ゆえか。オズというタイトルは飾りとして触れずでいいのかな。


D08嗚呼 美シキ兄妹愛哉
あかぎれに悩む魔祓いサラリーマン戦士。仕事の設定やペア二人の関係性など設定がたくさん語られるが、人間関係も妹要素もはじめから固定のキャラ像がある感じで、それを少しずつ開陳するようにストーリーが進むが関係は揺らがず、あるべきキャラクターステータスを維持して終わるような。調教師の漢字は分からなかった。なんだろう。


D09てとてとて
企画用フェイクというだけじゃない童話スタイル。テトちゃんの正体をはぐらかし、肉球をちらつかせ、おつかいもできるペットロボットだったと明かされる。長いことかまってやらないと発動する「拗ねテトちゃん」モードとして楽しんだらあかんやろか。映像ログをみんなで見て「大冒険だったねー」とか言って。私は「せっかくだから」って適当な買い物をするAIのしょんぼり感にキュン死した。


D10吾輩はルンタくんである
みんな大好きナレーター界の輝ける一番星、猫の吾輩がお掃除ロボットに!可愛い!おりこう!ルビでおしゃべりできるの!

「>お返事機能が搭載されていない」そこがいい!「>ルンタくんが助けを求めています」愛称設定!「>吾輩日頃はもっとデキる子なのに!」うぬぼれ屋さん!でも嘘じゃない!のろけ合うカップルトークに気まずい顔もせず、任務一途のルンタくん、えらかったぞー

「ルンタくん」この弾む語感。何度も言いたいルンタくん。あのルンバはroomを含むスペル上のダジャレになってるそうだけど、日本版はルンタくんにした方が絶対いいよ。ルンタくんに変えようぜ。ルンタくんには「くん」必須だよね。ルンタく(強制終了
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