[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作であり、「大江戸870夜町(はなまるやちょう)」の続編です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。
おとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。
全20話。第一話はこちら
「しゃ……!」
「しゃしゃ……!」
上海はいわゆる「東洋のパリ」です。
中でもフランス租界は街並みもフランス風、道行く人は基本フランス語なのでした。
「だからって……」
「しゃんはい……」
「ええー、そこから分かってなかったんですか? 救いようのないクズだなあ」
「上海……」
「ニイハオ……」
サムライもくのいちもスタッフも、がくりと膝を付きました。
「道理で色々ヘンでした……」
ぐるぐると思い返せば、それぞれに心当たりがあります。
「あっという間に着きました……洋行は初めてで、こんなもんなのかなーと……」
「東シナ海をテキトーに周遊したんじゃよー」
「あっという間に日付の感覚がなくなったわ……船酔いしたら3日経ってたり、酒盛りしたら5日経ってたり……」
「スキを見てがばっと日めくりをめくってのー」
「街並みも西洋風にしか見えなかった……」
「運河から直接フランス租界に上陸したんじゃー」
「雅ちゃんもパリも、ニセモノだったなんて……」
「若い娘が魔窟に迷いこまんようデートコースには気をつかったぞいー」
「街に華人が多いとは思ったニャ……でも劉さんもそうニャし……」
「世界中どこにでもいるもんじゃー」
「中華料理屋も1ブロックに2~3軒あったヨ……世界中どこにでもチャイナタウンあるネーと……」
死屍累々のステージで、上手・下手に別れたご隠居と吉澤が息を合わせてお辞儀をすると、ぽつり、ぽつりと拍手が起こります。
「なんという実験的手法」
「何かがそれらしいというだけで、我々の理性はたやすくだまされる」
「人間理性への新しいアプローチだ」
喝采とともに、どんどん話がでかくなり。
「これは単一的リアリズムへの反語表現」
「まさにリアリティの多重露光」
「新時代にふさわしい演劇形態ですな」
「ブラボー極楽座!」
「ウケてます、劉さん!」
「信じられないわ」
鶴亀が緞帳のスイッチを入れ、しずしずと幕が下りる中、雅マスクのご隠居は右へ左へキッスを投げ、まだ腰が立たない面々は土下座して、極楽座・上海公演はめでたく終演とあいなりました。
「さーて、上海ガニでも食いながら打ち上げといこうかのー!」
(第十六話へつづく!)