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  管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージは記事付属コメントかページ最下段のフォームどちらでもどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作であり、「大江戸870夜町(はなまるやちょう)」の続編です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。


おとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。


全20話。第一話はこちら



極楽座の怪人(14)

「何だと?」
「聞こえなかったー」
「周りがうるさいネ」
 演舞ホールは低いどよめきに包まれています。
「アロー、通訳はどうなってるのかしらフランスパンマン?」
「変装の三人は誰だったんだコマンタレブー?」
 本格的に観客を放置していたことに、ステージ上の面々もようやく気づきました。
「セキララに通訳するって約束はどうしたケツカセー?」
「忘れてました。びっくりしすぎて……」
 自信たっぷりだったはずの吉澤は、金髪をかきむしっています。
「何よ、夢から覚ましてやるとか言っといて」
「僕はてっきり、陰のフィクサーがテキトーなことフイて使節団を召集して、邪魔者をまとめて追放したに違いないと思ったんですよ。まさか一緒に来ちゃってるなんて、もう何が何だか」
「うむ、半分は当たりじゃ」
「なぜ我々が追放されなければならないんです」
「だって、どうしようもないクズばかりだからですよ」
 吉澤はビシバシと指さしました。
「緊縛カップルに、中華おネエに、バカ乳に、人形偏愛フリークに、猫の怨霊付きに、ファンタジー坊主に」
「エスっ子のコメント鋭利ネ」
「バカ乳ってどんなチチー」
「あれ? ひとり足りないな。最大のトラブルメーカーにして下等なゲスホモのゴミ」
「せめてラストショーグンぐらいプロフィールに入れたげなさい」
 ステージを見回しても、お小姓チームごと弁天の姿がありません。
「そう言えば、村正がびよーんと立ったあたり以降静かネ」
「楽屋の荷物もなくなってるぞ」
「どしたんだろーべそっちょ。3Pチャンバラにあんなにコーフンしてたのに」
「そのコーフン状態のままうろつかれては、日本の恥なのですが……」




「ハア、ハア、ヤバい、ヤバいで」
「上さまぁ、待って~」
 お小姓チームに荷物を持たせ、弁天は港を目指して走っていました。
「急ぐんや。キョーちゃんとの濡れ場がかなうまではと粘っとったが、もうアカン。ヨシくんは多分気づいてしもたで」
「上さま、村正もすり替え済みだったんですかぁ?」
「ああ。一番に売り飛ばしとる」
 万博出品の工芸品は国宝級のお宝ばかりです。弁天は稽古の合間に抜け出しては展示品をすり替え、こっそり古売屋に売り飛ばしていたのでした。
「代わりに展示しといたのって、上さまのレッスン刀でしょう。通信教育の」
「あれだって結構ちゃんとした作りでしたよぉ」
「刃に研ぎをかけとらん模造刀や。ドSが殺す気の立ち会いで相手に傷ひとつ付かなんだら、嫌でも気づくで」




「……というわけで、村正がニセモノなら君たちが送り出された理由もニセモノ、ジャックさんは分かっててフイたんだと、僕は確信したんですよー」
 吉澤はフランス語でも同じ内容を言い、劉はびよーんと立った村正にフランスパンをポコンと打ちつけました。
「ほんと。切れないわ」
「道理で、えらく乱暴に扱うと思ったニャ」
「くそ、釣られて自分のも床に刺してしまった」
 桔梗介が慌てて愛刀を取り戻し、工藤は深く頭を垂れています。
「さすがの殺気です、吉澤さま。バトル中は十分真剣を感じました」
「さ、次はいよいよ御大にしゃべってもらうわよ」
 振り返った劉は、鶴さん亀さんの胸筋にぼいんと阻まれました。
「何よ、邪魔する気?」
 ご隠居はこそこそ後ろに隠れています。長身ロシア人と元船奴隷の鶴亀コンビは、ボディガードとしてもなかなかの押し出しです。
「どうかご勘弁を」
「ご隠居がここにいると人に知れては、計画が」
「その計画を洗いざらいぶっちゃけろって言ってるの。これはウケるわよ~」
 劉はワクワクと両手もみしぼりました。
「ここまで苦労したものを、グダグダのまま終わらせるもんですか。ショーマストゴーオンを唱えた本人はどっかへ消えちゃったけど、この舞台はアイツひとりのものじゃないわ。そうでしょ、総合演出?」
「劉さん……!」
 真っ黒になるまで書き込まれた台本の表紙は「脚本・劉翠蓮 / 仁科冬成」の共同クレジットです。
「私たちのホンなんだから、私たちで最高のフィナーレにしてやりましょうよ。さあどうしてほしい、ジャックさん? 黒公安に忍者にどエスっ子、こっちには拷問のスペシャリストが揃ってるのよ。キリキリ白状しないと……」
「わ、分かった分かった! フィナーレが盛り上がればええんじゃろ!」
「どうしようっての」
「ヘッドパーツをこっちへくれるかの。さーお立ち合い!」
 雅マスクをずぼんとかぶったご隠居は、ぴょいと真ん中へ飛び出ました。
「ステージと客席を隔てる壁は崩れ、舞台の魔法は消え去った。じゃがまだ最後の魔法が残っとる。はい注目ー、ここはパリではありません!」
 タッタラーとポーズを決めたご隠居は、客席にお尻を向けています。つまり語っている相手は舞台上の面々です。
「ドッキリだーい成ー功ー! さあて街ごとフェイク? オープンセット? いくらわしでもそこまでせんわい。ホレお客さんに通訳せんか」
 ご隠居はぽかんとしている吉澤を促します。
「二ヵ国語で言うてやってくれ、吉澤くん。ここはどこじゃな?」
「いや……、上海ですけど」


第十五話へつづく!)

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