管理人・歩く猫 これっぱかしの宝物について。真田丸とネット小説など。ご感想・メッセージなどは拍手のメッセージ欄でも各記事コメントでもお気軽にどうぞ
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これはK96さんのwebマンガ+イラストサイト「870R」(サイトは18歳以上推奨)「HANA-MARU」からの二次創作です。他のHANA-MARU二次小説はこちらから。
はなまるファンとふざけたおとなむけ。おこさまは よまないでくださいね。
全16話。第一話はこちら
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冷酷王のスピーチ(2)
(ヨーコリーナによる回想)
:
>「くどりーん、混浴温泉は好き?」
(ヨーコリーナによる回想)
:
>「くどりーん、混浴温泉は好き?」
>「お久しぶりです、ヨーコリーナさん」
>「温泉とは嬉しいお誘いですね」
>「アッケージョも一緒に行こ~」
>「もちろんだ」
「ちょちょ、ストップ」
フューナリーがさえぎります。
「何ですかこれは」
「回想シーンだけど~」
「生データ投げられても分かりませんよ。どれが誰ですか。急に混浴温泉って何ですか」
「ほら、泉の女神のパトラがね、地熱ボイラー引っ張ってきて泉全体を沸かしたから、男も女も入りにオイデーって。もう金の斧・銀の斧設定は飽きたのね~」
「回想シーンだけど~」
「生データ投げられても分かりませんよ。どれが誰ですか。急に混浴温泉って何ですか」
「ほら、泉の女神のパトラがね、地熱ボイラー引っ張ってきて泉全体を沸かしたから、男も女も入りにオイデーって。もう金の斧・銀の斧設定は飽きたのね~」
「アッケージョというのは?」
「明けの明星を可愛くしたのよ。登場のとき『俺のことは明けの明星とでも呼ぶがいい』とか言ってたでしょ、カッコつけた割に定着しなかったからー」
「悪魔も恐れぬネーミングを……」
「じゃ、回想に戻る~」
「そうはいきません」
フューナリーもダテに人の告白を聞いてきたわけではないのです。
「そんな丸出しのフィクションは受け付けませんよ。お尋ね者の彼らが、突然やってきたあなたと仲良く出かけるわけないでしょう」
「ぶー」
「妄想も脚色もなしで、もう一度」
「はあーい」
「あと、ト書き的なものも少し増やしていただけたら」
「んー」
「あと、ト書き的なものも少し増やしていただけたら」
「んー」
(回想やりなおし)
:
「くどりーん、混浴温泉は好き?」
クドージンの背後で青ざめるティーン娘。
「お前……! なぜここが分かった」
クドージンの背後で青ざめるティーン娘。
「お前……! なぜここが分かった」
「えーおうちがあるから入っただけ」
一同はヒソヒソと密談。
一同はヒソヒソと密談。
「エントランスの視覚トラップが効いていないようです」
「レンガを幾何学模様に積んで3D錯視を作り出し、ぐるぐる回るロータリーと思わせて素通りさせるだまし絵的空間偽装ではないのか」
「ヨーコリーナさんを常人と考えてはいけないのかもしれません」
「錯視とは、脳が情報を圧縮するときに起きる高度な変換バグ」
「情報をフルサイズで丸呑みしてしまうヨーコリーナさんに、知的生物を想定したトラップは効かなかったんですね」
ヨーコリーナは、バカって言われた気がした。
「ストップストップ。ト書きヘタですね……」
フューナリーは坊主頭を抱えています。
「つまり、魔女さんたちは特別な隠れ家に潜伏しているのですね?」
「そうよ。しばらくは森のきこり小屋に住んでたんだけど、思春期のガラスのハートがバランス崩すたび一瞬で窓を割るわ、森の生木を引き裂くわで大変だから引っ越したんだって~」
「魔女が、自分の魔力を制御できなくなっているのですか?」
「厳密に言うと魔力じゃなくて思春期の一過性ESPで、魔法とは別ジャンルらしいわ~。本気の魔法使うとトキちゃん神さまに居所バレるから自粛中」
「不安定女子のイライラはノーカウントというルールですか。トキ神って、魔女さんじゃなくてヨシザワス王を悪魔だと思ってくれてましたよね?」
「“サミー・エバーパインの逆襲”あたりのエピソードね。なつかしー」
「ちなみにそう言いくるめたのは僕ですが」
「うんうん。オトート君のトンチのおかげで悪魔でも安心して暮らせるようになったのに、イラッとするたびティーンのフラストレーション発動して、ポルターガイスト起きちゃうんだって。オンナのカラダひとつ乗りこなせないで、あのヘタクソー」
「意味ちがって聞こえますよ」
(回想つづきから / 生データ形式)
:
>「くどりんたちも、あれから色々あったのねー」
>「はい。魔法はあまり使えませんから、隠れ家の偽装もすべて手作業」
>「ポルターガイストが噂になるたび夜逃げしては隠れ家を作りますので、レンガ積みのDIY技術が身に付きました」
>「王さまが魔女狩り令出したし、暮らしにくくなっちゃったわね~」
>「あの件で実害はこうむっていませんよ」
>「人相書きが全然似ていませんので」
>「王さま直筆だもんね」
>「ずいぶん急な布告でしたが」
>「ドールを返してほしいみたいよ~」
「たびたびすみません」
フューナリーも一時停止操作に慣れてきました。
「あのトンデモ布告ってそういう意味だったんですか? カレー屋の宣伝とか、個人的恨みとかじゃなくて?」
「事務処理にAIの手を借りたいんだって。国王の仕事が忙しくなったからー」
「真面目に王さまやってるんですね」
「リューぽんが魔法支援から手を引いたでしょ。自分でちゃんとしなきゃいけなくなったのよ~」
「リューさんとケンカでもしたんですか?」
「なんやかんやで魔導法則が狂ったままじゃん。魔法は頼りにならないの。あの変態のヤクザ悪魔がいつまでたってもバグを修正しないからだーって。あのクソがーって」
「って、王さまが言ったんですね。やっぱりだいぶ恨んでる」
「ドール取り返すついでに、バグはこいつのせいですよって、本当の悪魔をトキちゃんに突き出すつもりみたいー」
「そううまくいくのかなあ」
(ひきつづき回想)
:
>「―――なるほど。ヨシザワス王は厄介を一気に片づけようとしている」
:
>「―――なるほど。ヨシザワス王は厄介を一気に片づけようとしている」
>「ご忠告ありがとうございます、ヨーコリーナさん。我々に情報を漏らしてしまってよかったのですか?」
>「聞いてらっしゃいませんね。あの、将軍の頭をなでないでください」
>「ねえねえ、アッケージョはどうしてワイシャツいっちょなの~?」
>「……女ものをあまり持っていない」
>「つい習慣で、寝起きは男ものに袖を通してしまわれるのです。私どものシャツなのですが」
>「私のお下がりあげようかー。清楚系の紺ワンピあるけど」
>「……いらん」
>「じゃあ温泉は~?」
>「……何だその二択」
>「じゃあくどりんと行くねー」
>「……」
>「ヨーコリーナさん、せっかくですが、ドールは精密機械ゆえ水没はちょっと」
>「人間の方でいいってばー」
>「どっちが人間なのかも、自分ではちょっと」
>「分かんないの? じゃ、二人ともお風呂入れないわけ?」
>「防滴加工ですので、シャワー程度なら平気です」
>「うん、どっちもいい匂い~くんくん」
>「ヨ「ヨーコリーナさん離れてください」さい」
>「ねえアッケージョ、人間のくどりんをお持ち帰り希望なんだけど、どっちがどっち?」
>「……そのふざけた音韻で人を呼ぶのをやめたら教えてやる」
>「アッケージョも来ていいってば。混浴だから性別ゴッチャ煮のひとも大丈夫、きゃ!」
>「ヨーコリーナさん、伏せてください!」
「―――で、イライラの限界を迎えた魔女さんがポルターガイストを発動させ、隠れ家は地下のワイン倉だったので棚の酒瓶が割れまくり、とっさに覆いかぶさったクドージンさんのおかげでヨーコリーナさんは無事だったけど魔女さんはガラスの破片で切り傷だらけ、クドージンさんの地味魔法で地道に治療するほかなく、ヨーコリーナさんは邪魔なので帰ってくださいと言われ、割れ残ったワインをたくさんお土産にもらった、と……」
生データのオーバーロードに吐きそうになりながら、フューナリーは何とかまとめます。
「しゃべったわ~、爽快♪」
「気が済みましたか? そろそろ帰ってくださいね……」
「んもー、ちゃんと懺悔しに来たんだってば。手配犯見つけたのに捕まえるの忘れちゃって、間者として罪の意識を感じてま~す」
「はいはい……」
フューナリーはよれよれと十字を切り、シメの定型句を絞り出すのでした。
「朝晩お祈りを唱えなさい。御慈悲により罪は赦されます」
「きゃはは、真面目坊主ウケるー。じゃーね~」
小窓がパタンと閉じられ、神の家に静寂が戻りました。
(第3話へつづく!)
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